■ ■ ■
ス キ ナ ヒ ト ガ イ ル
好きな人から聞いたこの言葉はきっとどんな言葉より心に刺さるのだろう。
その言葉を聞いた時私は笑えていたのかな。
「おお!大地にもやっと好きな人!私でよければ相談乗るよ〜」
「ありがとうななまえ」
それから、毎日のように大地の好きな人との話を聞かされるようになった。
その話をするときの大地はとっても嬉しそうで笑顔で、私には一生大地にもそんな顔をさせることなんてできない。
今日もまた作り笑いで彼の幸せ話を聞く。
たまに…というか9割、孝支も居てくれるからまだ平常心を保っていられるけれど、いない時なんてもう拷問だ。
大地とは3年間同じクラスで、1年の文化祭頃から仲良くなって、自然とバレー部の皆んなと仲良くなっていった。
大地はバレー一筋で恋愛なんて興味ないんだと思って油断していたのがまずかったんだろう。
「誕生日ねぇ…イマドキのおなごは何もらったら嬉しいのかよくわからないなぁ」
「まてよなまえ!お前もイマドキの女の子だろ?」
「いや〜、キャピキャピウフフしてる女の子の思考はよくわからん!」
胸を張って断言すると、笑いだす大地と孝支。
ちなみに今は、放課後である。
進路相談的な担任との面談待ちで、残るは孝支と大地だけだ。
大地の相談のために私は残っている。
「大地〜次〜!」
クラスメイトに呼ばれて、大地が職員室へと向かうのを確認してため息をつく。
「やっぱり、なまえは大地のこと好きだべ?」
「孝支にはわかっちゃうか〜」
背伸びをして、へらへらっと笑う。
最近はこのへらへら笑いが上手くなったものだ。自画自讃だけどね。
「大地も鈍感な部分あるからなぁ」
「それな!私がこの3年間どれだけ頑張ったと!!この関係を崩さないように!どれだけ!大地に気持ちが気づかれないように頑張ってきたか!」
机をバンバンしながら孝支に訴える。
どうせ二人しかいないし、大地もまだ帰ってこないだろうから、叫んでしまう。
「お陰様で気づかれずに?恋愛相談なるものをされてますけどね!」
「落ち着けよ〜」
「落ち着いていられるかよ!孝支しか話せるひと居ないんだからさ!」
今までの鬱憤が全て口から溢れ出ていってしまう。
大地から好きな人がいると聞かされてから何度諦めようとしただろうか。
「好きなものは好きなんだって………」
私のおさえきれない気持ちを表すかのように、ポロポロと涙がこぼれでる。
霞む視界の中にアタフタとする孝支の姿が見える。
「スガ〜、つ…ぎ…」
神様は悪戯っ子なのかな。
なんでこうも泣き顔を見られたくない相手に見せようとするのだろう。
タイミング悪く、大地が帰ってきた。
「ごめん!なんでもない!用事思い出したから帰るね!孝支もありがとうね!二人とも部活がんばれ!」
大地にも、孝支にも話す隙を与えず、畳み掛けるように話し荷物を持って教室を飛び出した。
秘めた想いの行き先伝えなかった想いはどこに消えますか