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未映像化のコミック17巻番外編ネタバレ含みます。ご注意ください。









こんなに"終わり"というものは呆気ないものなのだろうか。

彼らにとって最後の試合が終わってしまった。
明日からは"新生"青葉城西男子バレー部だ。

今のチームになって約半年はとても濃くてとても大切でとてもかげがえなく、とてもとても大好きな時間。

その半年はたった一試合で、全て終わってしまった。
たった一試合だ。
叶うならもっとたくさんたくさん彼らにバレーをして欲しかった。もっとたくさんたくさんベンチから応援したかった。

勝ち負けなんてなければ良いのに、なんて言ってしまえば元も子もなくなってしまうけれど、本当にそう思ってしまう。

ただ、そんなことは無理だから今、私は、誰もいない体育館に立っている。

昨日までここには皆がいて、バレーをして、全国目指してた。オレンジコートを目指してた。

「……ありがとう」

横断幕にお礼を言う。
ずっと応援席から見守ってくれてありがとう。
オレンジコートに連れて行けなくてごめんね。
きっと、きっと、あいつらが連れてってくれるから待ってて。

いつまでも体育館にいるわけにもいかなくて、帰ろうと思ったところで、体育館の扉が開いた。

「あれ!みょうじちゃんどうしたの!」

「及川……」

「あ、本当にみょうじだ」

「花巻……てか、3年生どうしたの」

及川徹をはじめとした、バレー部3年生が勢ぞろいしていた。

「最後に3年だけでバレーしようってなってさ」

「あー、それで。じゃあ準備手伝うよ!ネット持ってくるね」

話を聞くと彼らはラーメンを食べたあとにここに集まってきたらしい。
あと、人数足りないのにバレーをするらしい。
なんて彼ららしいのだろう。

私も彼らのお手伝いをするのはこれで最後だ。
及川も居なくなるから新しいマネージャーもちゃんと入ってくるかな、なんてこっそり考えたりもする。
引き継ぎとかしたかったなぁ。

▽▲▽

「ひぃ〜〜もうだめ」

「ラーメン出る…」

見回りの先生も来るし、なにより三年生組の胃が限界みたいだ。
食べたあとなのによく動くなぁとは思っていたけれど、ここまでやるとは思わなかった。

もうすぐ、タイムリミットだなぁ。
もう2度と彼らは同じメンバーでプレイができないんだ。

「3年間ありがとう!!」

及川の声が体育館に響く。
私は少しでも彼らの支えになれていたかな。
見回りの先生が来る前に片付けを完了させるために倉庫へ向かう。

及川の声がまた体育館に響いた。

「みょうじちゃんもありがとう!!おかげでここまで皆でバレーができたよ。本当にありがとう」

そんな及川の言葉に続いて部員から沢山「ありがとう」をもらう。

せっかく我慢していたのに、もうダメだ。
目からどんどんと涙が溢れ出す。

「せっかく、我慢、して、たのに……!私の方こそ皆、ありがとう!!」

どうか、彼らがいつかこの日を思い出した時に笑えていますように。
本当にありがとう。


輝く全てに告ぐ
「信じてたよ、お前ら
「信じてたよ、キャプテン