■ ■ ■


誰かがボールを叩く音がする。
誰かが跳ぶ音がする。

つい昨日まで私たちはそこにいたかのようになにも変わっていない。

「懐かしいね」

「そうね」

「もう2年前か〜」

「日向たちはもう引退してんのか」

「3年だもんなぁあいつら。」

「センター来週じゃん?澤村の学校休み?」

「まあな」

「うっわ、羨ましい」

「専門だもんな」

「センターなんてなかった」

「東峰は休み?」

「一応ね」

「ブラックじゃないみたいで安心」

「にしても、旭がスーツ来たらマフィア感やばいな」

「えっ、」

「それは私も思ってた」

「清水まで!」

「清水とみょうじは振袖似合ってる」

「ありがとう、これお母さんのおさがりなの」

「へぇ!すごいな」

「澤村も菅原も似合ってる」

「大学の入学式でもスーツ着てたし」

「東峰は本当にマフィア」

「はぁ………」

「似合ってるって受け取って」

「………うん」

中学単位での成人式を終えた私たちは、烏野に集まって武ちゃんと烏養さんに挨拶にきたのだ。

「こんにちは〜」

「ちわっす!!」

ガラッとドアを開けると、そこには烏野バレー部がいて、なぜか引退したはずの日向と影山がいた。

「そっか、実業団か」

「うっす」

誰だこいつらみたいな目をしてるのは1年生だろうなぁ。

「おー、そうか今日成人式か」

「はい!どうですか振袖」

「似合ってますね」

「武ちゃんすきー!」

「君たちと過ごした期間は本当に短かったけど、出会えてよかったと思ってます」

「やめて武ちゃん泣いちゃう。高校時代と違って私と潔子メイクしてるんだよ??落ちちゃうから」

「そうですよ!めでたい日なんですから!」

「そうですね……じゃあ、一言だけ。『焦らずのんびり大人になってください』」

「「「ありがとうございます」」」

せっかく美容室で綺麗にメイクしてもらったのに意味なくなっちゃった。
私たちにとって烏野での3年間は本当に大きなもので。

20年間しか生きていないけれど、一番「大好き」が多かった1年なんだろうな。

幸せだ。

成人式
素敵な大人になれますように