■ ■ ■
「蛍のさメガネってどれくらい度が強いの?」
教室に二人で残りテストに向けての勉強をしているとき、以前から気になっていたことを彼氏である蛍に聞いてみた。
さっきまで影山くんと日向くんがいたけど、蛍が"キミたちうるさい。騒ぐなら他所でやって"と一蹴し教室から追い出してしまった。
あと、山口くんは何かを察したかのように"じゃ、お、俺、日向たちのこと見てくるから"と言って日向くんや影山くんの後を追いかけて行ってまだ帰ってきていない。
「突然なに?」
「ん〜、蛍がメガネ外したところなんて見たことないからなぁって思ってさ」
「ふ〜ん。あ、ここ間違ってるヨ」
「え、うそ?!」
進学クラスにいる蛍は私より断然頭がいい。身長だって高い。150cmあるかないかの私と並んで歩くと兄弟に間違われたりしないかどうか毎回ヒヤヒヤしてしまう。
しかし、メガネ外した蛍の顔を見てみたい。
付き合って2ヶ月しか経っていないが、1度も見たことがない。
「ねぇ」
「なに?」と蛍が返事をするために顔を上げたところを見計らってメガネを奪い取る。
耳が痛いかもしれないが今は関係ない!
メガネ外した姿のほうが大事であるわ
「チョット、返しなよ。」
うわ、かわいい。日向くんたちに比べて大人っぽい印象だったけれど、メガネを外すと高校1年生の顔になった。
「うわ、なにこれ。強すぎ!目の前クラクラするんだけど!」
好奇心で蛍のメガネをかけてみたけれど、視力2.0の私には蛍のメガネは強すぎてクラクラしてきた。
「蛍よくこれで耐えられる…んっ」
"よく耐えられるね"と言いたかったのだが、言葉を紡ぐ前に、蛍の唇で阻止されてしまった。
唖然としていると、そっと私の耳に痛みを与えぬようメガネを外し、
「メガネあるとキスしにくいね」
そう言い終わるや否や、私の唇に再びキスを落としてきた。
「〜〜〜っ!!蛍のばか!学校だよ!」
「なまえが悪い。」
「なんで!」
学校での不意打ちのキスに驚きつつ、早まる鼓動を抑えつつ反論してみるけれど、「……メガネ可愛かった」なんてなかなか甘い言葉を吐かない蛍に言われたら顔が赤くなる感覚がして机に突っ伏した。
メガネっ子 蛍はずるい。