愛すべきなんでもない日々
次の日大学に行って友人に幸村くんが新しくバイトとして入ったと伝えたら、めちゃくちゃびっくりしていた。

「あんたのバイト先イケメンの巣窟じゃん…生徒たち羨ましすぎ」

「それは私も思うよ、でもイケメンすぎて顔直視できない」

「高嶺の花だよね〜」

「というか、幸村くんはどちらかと言うと美人って感じで儚そうだし弱そう」

「ああ見えて幸村くん、高校時代テニス部で1番強かったんだからね」

部長してたくらいだもんね…そりゃ当たり前に強いよね
人は見かけによらないという言葉をここで使わずいつ使うのかと思うくらい見た目からはテニスが強いようには思えなかったけど。

「あ、次休講じゃん…」

「まじで?まだここで時間潰すか〜」

携帯で休講情報を確認していると次の授業が休講だということが発覚した。
今の時間は空きコマで、談話室で暇をつぶしていたのだが、必然的に2コマ分暇になった。
3時間ほど暇になるとさすがに暇つぶしもなくなるかと思ったが、全然そんなことなくて話が尽きることはなかった。

新作のお菓子の食べ比べをしようと学生生協で買ってきたお菓子を机の上にたくさん広げたところで昨日初めて聞いた声が鼓膜を揺らした。

「みょうじさんだ」

「あ、幸村くん」

「この時間空きなの?」

「ううん、休講になっちゃって暇になったの」

「休講はいいけど、補講は大変だよねほんと。あ、じゃあまた塾で」

友人を見つけたらしくそちらの方へと歩いて行ってしまった。
幸村くんは黒のトートバッグを持っていて、おしゃれでモテる男!って感じの雰囲気だった。
なんで昨日まで彼のことを知らなかったのか不思議だと思ってしまった自分がいる。

「幸村くんと普通に話せる女子初めて見たよ…というかあんたも普通に男子と話せてるね」

「…めっちゃ緊張したよ〜!普通に話せてた?」

「普通に話せてたよ?」

「よかった…幸村くんってなんか話しやすいんだよね、なんでも受け入れてくれそう」

「あ〜ちょっとわかるかも。包容力かなり高そう。彼氏にしたいランキング上位に食い込む男」

「それだ〜その表現1番しっくりきた」

彼が歩いて行った方向を見ると、赤色に銀色に色んな髪色をしたイケメンたちが集まっていた。
あんな髪色の人初めて見たんだけど…。大学の人かな??

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