銀河の一角から名もない星粒を渫うような話
今日もまた幸村くんと一緒にいた赤髪と銀髪を大学内で見かけた。あとスキンヘッドも見かけた。
外国人?!と思ったけれど、普通に日本語を話していたから余計にびっくりした。
立海には不思議な人を引き寄せる何かがあるのかな??

今日は授業終わりとバイト開始時間が近いので、学校から直接バイト先に向かう曜日である。
門近くで学生マンション街へ向かう友人たちと逆方向に歩き出すと後ろから幸村くんに声をかけられた。

「みょうじさん今からバイト?」

「うん、幸村くんは今日シフトないよね?」

「家がこっちでさ。塾まで送ってくよ。通り道なんだ」

こんなイケメンの隣を並んで歩くなんて後ろから過激派の女の子とかに刺されてもおかしくない。
友人たちから仕入れた情報によると、彼らテニス部…特にレギュラーの人たちのファンはすごかったらしい。
ファンクラブとかもあったらしいし、とにかく私が知っているテニス部とはなにもかもが桁違いだった。

活躍するにつれて学校の注目度が上がるのは必然的だとは思うけれど、ファンクラブが出来たりするのは怖すぎるでしょ。

女子に抜け駆けをさせないためにできたらしいが、今私はそんな彼の隣を歩いている。
刺されそうだ。

立海大学に入学したのはレギュラーの人たちのほんの一部らしく、ファンクラブは解散したらしいのだが、元会員が学校中にいると思うと怖いよね。

「みょうじさんはいつからこのバイトしてるの?」

「う〜ん…1年生の夏前くらいかな」

「結構長いんだね」

「だけどなかなか慣れないんだよね。何度同じ説明してもわかってくれない子とかいるし」

「たしかに…」

「でも、テストの結果を笑顔で見せに来てくれたりすると頑張ろうって思えるんだよね」

「解けない」「できない」とひたすら言っていた子がテストでいい点数を取って笑顔で「取れたよ!」と言ってくれるのは自分のことのように嬉しい。
たまに甘すぎると言われることがあるけれど、私としては何事も楽しくないと続けられないと思っているから、生徒にはできるだけ笑顔で優しく接するようにしている。
怒ることも愛情だというけれど、私には無理だ。
そういう飴と鞭の使い分けは柳くんが上手。

「みょうじさんはいい先生だね」

「そうかな?」

「俺が中学とかの時にいたらいいなって思ってた先生のまんまだよ」

「そう言ってもらえるとかなりうれしい。ありがとう」

「どういたしまして。あ、ついちゃったね。じゃあまた」

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