雪が積もるだろうと昨日の夜見たテレビの天気予報が言っていた。
確かに、今までより少し冷え込む夜だなぁとは思っていた。
でも雪が降っても積もることはないと思っていた。だって東京だし。

「見事に積もってくね」

「だね…」

朝見たときはまだ少し道路が凍り始めてるくらいだったのに、いつの間にか雪がバーーって降り出して積もってしまった。
雪の降りかたの説明に語彙力がなかったように思われるが、本当にバーーって感じだったから仕方ない。
昼休みになった校庭では1年生であろう子達が騒いでいる。

「すごい元気で羨ましい…雪なんて降らなきゃいいって思っちゃうんだけど私」

「雪が降って楽しく感じなくなったら、歳とった証拠なんだって」

「えっ」

「この前テレビでやってたよ」

私はまだ15歳だ。
10代を折り返したばっかりだというのにそんなこと言われてしまったら悲しくないわけがない。

「そういう周助はどうなの?」

「冬が来たなぁって思うくらいかな」

「……おじいちゃん」

「そういうなまえこそおばあちゃんだね。」

中学3年生が何を言ってんだか。私たちより年上の人たちが聞いたら確実に怒られる。「お前らまだ10代だろ!」って。
でも、おじいちゃんとおばあちゃんなら相性はいいかもしれないななんて思ったりもした。

「実際におじいちゃんとおばあちゃんになる日まで一緒にいれたらいいね。炬燵でみかん食べながら雪が降ったら今日のことを思い出すの」

「そうだね」

「それでね、本当におじいちゃんとおばあちゃんになったねって笑い合うのとっても素敵」

お母さんがデザートとして入れてくれたみかんの皮を剥きながらそんなことを言ってみると周助は「そのつもりだよ」なんて言いながら私が剥いたみかんを一つ口に運んでいた。