ほんとうに短い
喋ってるの不二と大石と夢主のみ





「みょうじさん、はいこれ」

「なにこれ」

「短冊」

「いや、それは見て分かるよ?なんで短冊?」

ジャージに着替えて、マネージャーとして所属しているテニス部の部室に着くと、不二から短冊を渡された。

「桃が七夕だからって笹を持ってきてさ、それでみんなで短冊にお願いを書いて吊るそうってなったんだ」

大石に丁寧に説明してもらって部室の中を覗くとみんなが思い思いに短冊に向かってお願いを考えていた。
越前くんに至っては「七夕ってなんすか」とでも言いたいような顔をしていたけど、桃くんに丸め込まれてお願いごとを書き込んでいた。

既に何人かは書き終えていて、名前が書かれていなくても字の特徴だとか、お願い事の内容でわかる。

正直なところ中3にもなってお願い事もクソもないんだけど、「願い事書いてから部活に参加すること!」なんてノリノリで彼らに言われたら書くしかないじゃないか。

私の願いはただ一つ。

"1秒でも長くテニス部でいられますように"