さて、ここまでわけのわからないことをチラホラと言っていたかもしれないが全て真実である。

私はトリップというものを経験している。
20歳の誕生日から数ヶ月後、気がつくとこの世界にいた。
ちゃんと両親もいて、「春から立海大付属ね」なんて微笑まれたのがこの世界での初めての記憶。

この世界に来る前にハマっていた"テニスの王子様"の世界に来るなんてどこの夢小説だよ本当に。

私の中に今現在残っている記憶は、

・私がこの世界の人間ではないこと
・前の世界では20歳だったこと
・テニスの王子様に関すること

である。

前の世界の友人の記憶などはほとんど無い。
入学した当初は少しはあったものの少しずつ少しずつ消えていったのだ。

元々の身長も低かったしこの世界の中学生は背が高いため、以前の世界の体のまま来たらしいのだが違和感がない。

そんなこんなで立海大に入学したものの、20歳がもう一度中学生をするのはつらいものがある。

しかし、幸村と同じクラスだとわかった時はどれだけ嬉しかったか。でも、サボり癖はなかなか取れないもので教室に上がる頻度は変わりはしなかった。

あ、あともう一つ。
ここの世界の実家は埼玉のため、学校の近くで一人暮らしをしている。
中学生の一人暮らしなんて心配されたけど、20歳で一人暮らしをしていた私からすればへっちゃらだ。

漫画の世界の話だから中学生の一人暮らしでもなんでもありなんだと思う。

▽▲▽

幸村とお茶会をした翌々日、「クラスマッチに参加しよう!」と友人たちに引きずられて体育館に座っていた。

学校に来てはいるものの教室に来ないのは授業が嫌いだからだと思っている彼女たちは行事や学活が多い日はよくこうやって保健室に来て引きずって移動してくれるのだ。

気を遣われているのか遣われていないのか。
13〜14歳の彼女たちにとっては前者なのだろうけど。

今更だが、体感年齢としては5〜6歳も差があるのか。と気がついてなんだか姉のような気分になる。

バスケをしているので、体育館を走り回っているクラスメイトを眺めつつ、若さの素晴らしさを感じている。

クラスメイトはみんないい子で、私の姿を見かけるたびに「元気ー?」「連絡するねー!」なんて声をかけてくれるくらいには仲がいい。

男女も仲がいいから思春期ってなんだったっけ?なんて思ったりもするのだ。

バスケのコートを走り回る幸村や柳を見ていると、改めて中学生なんだよなぁと当たり前のことを思ったりする。

ちなみにテニプリはミュージカルの方も少しは嗜んでいたため、曲を思わず口ずさみそうになる。

アニメのキャラソンも浮かびそうだけど、やはり立体になって動き回られてるからテニミュの方がしっくりきちゃうんだよなぁ。

ピーーーと音がなり、試合が終了する。私のクラスの勝利だ。