「みょうじは教えるのが上手いようだな」
「そんなことないよ?」
ひと段落つきそうだったので、「ここからここまできちんと解いておいてね」と赤也に伝えてから自販機にジュースを買いに行って教室に戻ると柳と丸井と仁王がいた。
「赤也がここまでやれてるの初めて見たぜ」
「吸収力は高いんだけどそれを応用できるまでに時間がかかるみたい」
「みょうじ先輩めっちゃ教えるのうまいっす!」
ルンルンでワークの丸つけをしているけれど、正解率は6割ほど。
開始時の赤也からしたら確実にものすごく成長している。
そう思いたい。
「へー!じゃあ俺にも数学教えてくれよ」
「数学か…ちょっと自信ないけどそれでもいいなら。って柳くんいるんだから柳くんに教えてもらいなよ」
「俺は人に教えるというのが苦手なようでな」
公式を覚えればいいとかそこらへんの理屈で伝えてきそうな感じはある。偏見しかないから異論は認める。
少し視野を広げて目線を合わせて考えてあげるのが良いんだよねこういう時は。
「じゃあ、土日にでも私の家で勉強会しよっか」
「俺も混ぜてほしいナリ」
「仁王くんはちゃんとやれば高得点取れそうだよね」
「ピヨ」
今までもよく「プピーナ」とかあったけれど、肯定か否定かよくわからない返事をしないでほしい…意図が読み取れません。
「とりあえずLINEのグループ作っといたからそこで連絡とろうぜ」
「丸井くんはほんと仕事が早いね…」
「どう?天才t…「はいはい、天才天才」
「みょうじさ〜〜!」
「もうそろそろ下校時間だから帰ろっか!」
「無視すんなよぃ…」
「ごめんごめん」
LINEのグループが1つ増える度に、この世界に必要としてくれる人がいるんだと少しだけ嬉しくなってしまうのはこの世界にいたいと深層心理ではそう思っているからなのかもしれない。
とりあえず、赤也丸井仁王の3人組はグループLINEでもスタンプ連打するのはやめてほしい。
いくらここのグループの通知を切っているとはいえ、ホームのアイコンの上に表示される数字がどえらいことになっていた。