「みょうじ!?」

数学で当てられて、前に答えを書きに行こうとしたところでまた記憶が流れ込んでくる感覚に襲われて膝から崩れおちてしまった。

「すいません、先生大丈夫です」

「大丈夫じゃないだろ。柳!みょうじ保健室連れてってやれ」

「わかりました、立てるか?」

「ごめん、ありがとう」

柳の手を借りてなんとか立ち上がる。
記憶が流れ込んでくる感覚も大きかったが、少し血の気が引く感覚がした。
ご飯食べてないからかなぁ、

「みょうじ、痩せただろう」

保健室の先生は職員室に行っていたため、誰もいなかったのだがベッドを使って横にならせてもらった。
もう大丈夫だと言うのに、柳が「寝ておけ」とすごく冷静な声色で一言かけてくれたあとに、ベッドへと運んでくれたので、大人しく寝ておくことにした。
ふぅと一息ついたところで柳が怖い発言をしてきた。

「なん「なんでわかったの?とお前は言う。手を取った時に、肉が以前よりなくなっていた」

「あーね」

「結構落ちただろう?」

「そこまでは………」

「俺のデータによると、5kgほど落ちたはずだか?」

ビンゴ。
データを超えたデータマンだと言われるだけのことはありますね。
体内に体重計でも内蔵してたりする?怖いよさすがに。

「記憶のことで色々考えちゃってご飯食べるの忘れるんだよね」

「……戻らなくていい方法はないのか?」

その方法はたとえわかったとしても、元々は存在しなかった、若しくは存在していた人物の代わりに私がいると考えると、"私"は存在してはダメなんだよ。

だから、

私の中に"戻らない"という選択肢は、

「うん、ないよ」