担任の粋な計らいもあって、2年の時同じクラスで仲良くしてくれていた子と同じクラスになれた。
あと、柳とも同じクラスだった。
幸村とは離れてしまったらしい。

「みょうじやっと来たんだな」

「お久しぶりです〜」

そしてなにがあったか、柳とは隣の席だった。
昨日席替えをして、見事に隣の席になったらしい。

「幸村に『みょうじが学校に来たら連れてこい』と言われているから今日の放課後は付き合ってもらうぞ」

「お「お断りします…とお前は言う。そういうわけにはいかないな」

相変わらずの柳で少しだけ安心した。
こんな私だけど避けられたらどうしようなんてミジンコほどは思ったりしたからね。

昼休みになって友人とお昼を食べていると、赤也が泣きながら教室に入ってきた。

「切原くん?」

「みょうじ先輩、学校辞めちゃったかと思ったっす!」

「さすがに辞めないよ」

「柳先輩に『みょうじ来てるぞ』って教えてもらって飛んできました!」

「ほんとに飛んできたね…」

この子3年の教室に物怖じせず、ドアを開けたと思ったら突然私のところに突撃してきたんだから。
びっくりだわほんと。

「俺がずっと弱音吐きっぱなしでそれに嫌気がさして学校来なくなっちゃったかと」

「それはないよ。私が話を聞くって言ったんだし、弱音吐いてくれるの嬉しかったから。」

少し手を伸ばしてポンポンと頭を撫でる。赤也の話を聞いたあとにそうするのが癖になっているのかついそうしてしまう。
ふわふわの髪が気持ちいのだ。

このままバイバイだと思っていたのに、「先輩たち待ってますよ!」と赤也に連れられて友人達に謝りながら教室を出た。
行き先はきっと屋上だ。
友達とご飯くらい食べさせてくれ。

「みょうじは赤也がほんとお気に入りじゃの」

「仁王…それ逆の方が正しいから」

「みょうじさん、お元気でしたか?」

「柳生くん…ジャッカルくんがいない今、このテニス部の良心は君だけだよ…」

「ジャッカルは丸井と一緒に購買に行ってるぜよ」

「だと思った」

屋上に着いて、久々に見る皆んなは私がよく紙の上で見ていた彼らと瓜二つだった。原作にみんなが追いついたのだ。
避けていたというのに何も言わずこうやって話してくれるのは本当に嬉しい。

「みょうじ…幸村に会いたくないと柳と仁王から聞いているのだが、会ってやってはくれないか。」

少しだけ和やかだった雰囲気が、真剣な顔をした真田が発した言葉によってピリッとなった。

「先日から医者に言われた言葉で、自暴自棄になっていて俺らの話を聞かないんだ」

「うん、なんとなくそうだと思った。だいたい3日前くらいでしょ?その日から公衆電話からの鬼電無くなったし」

「3日前…それくらいだな。幸村を頼む。」

そう言いあの真田に頭をさげられてしまったら断ることなんてできないよ。

「………頼まれた。」