無事に3年生にあがれたのはいいけど、新学期はいって数週間経っても学校に行かなくなった私を心配してか友人がまたお菓子をたくさんポストに入れてくれるようになった。

蔵も幸村から連絡が入ったのか、かなり頻繁にメッセージを送ってきたり、電話をしてきたりしている。

さすがに彼を無視するわけにはいかないので出来る限り対応しているのだけど、しんどい。

柳と仁王は他の人たちにわたしが20歳だということを話していないのだろうか。
話してくれていた方が楽だ。
わたしの口から辛いことを話さなくていいから。

携帯が震えて、この時間だと蔵だろうな、と名前を確認せずに電話に出ると、方言は方言でも、どこの方言か謎の方言が聞こえてきた。

「……仁王?」

「お前さん、名前確認せんで出たんか」

「この時間は蔵がかけてくるからね」

「ほうか…。やっと電話出てくれたな」

「まあね…。おかげで立海生からの着信履歴達は毎日軽く20は超えるよ」

「電話に出んからじゃろ」

「うぃっす。」

「もう学校には来んのか?赤也が会いたがっとる。幸村もみょうじが来んかってからずっとイライラしとる」

「幸村の件はなんかほんと部員に迷惑かけてそうで申し訳ないっす…。」

「その通りじゃ、当たられるこっちの身にもなってほしいナリ」

「…学校にはそろそろ行くよ。」

「ほうか、じゃあまた学校でな」

これからの出席日数を考えると学校にはそろそろ行かなければならない。いくら義務教育とはいえ、そしていくらエスカレーター式だとはいえ私立だから容赦はない。
公立中学への転校を薦められたり、高校へと上がれなくなってしまう。
私立の学校は本当に怖い。中学なのに気がつくとクラスメイト減ってたりするしね!

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仁王から電話に出た次の日、元気に保健室登校をすると先生にものすごく心配された。

「なまえちゃん、もう保健室にすら来ないのかと思ったわ…」

「ちょっと色々あって…、でも出席日数やばいし一応」

「なにがあったのかわからないけど、無理だけはしないようにね」

コトンと紅茶が入ったカップを机に置いてくれる。
先生は本当に優しい。

先生が淹れた紅茶は心を落ち着ける作用があって、元気も出る。
今日は3時間目から教室に行こう。