こんだけ大声で叫んで喧嘩してたら誰かに聞かれてるだろうなとは思っていたけど、一番面倒な柳と仁王に聞かれていたのは誤算だった。
あまりにも大げさに彼女たちをコートから引き離していたらしく、彼らが様子を見に来たらしいのだ。
帰ろうと思って右向け右をした時に彼らと目があった時には心臓が止まるかと思った。
「やっほー……?」
「何が『やっほー』じゃ」
「じゃ、私はこれで」
なんとか乗り切れないかと思ったが無理だった。
目の前の道を塞がれてしまった。
「さっきの話はなんだ」
「あー…観念するしかない?」
「ほうじゃのぉ」
「簡単に言うと、私はこの世界の人間じゃなくて中学生でもないってことかな」
私が案外あっさり白状したことにビックリしたのか目が丸くなっている。
嘘、柳の目は開かれてはいない。
「この前、なんで好きな人を作らないのかって聞いたよね?理由はこれ。私は20歳でこの世界には存在しちゃダメな人なの」
じゃあね、と2人の間をすり抜ける。
あっさりすり抜けられてびっくりしたけれど、2人は私の突然の激白に油断をしていたらしい。
普段から不登校気味なのもあって親には学校へは行きたくないと言えばしばらくは休めるだろう。
さて、何して過ごそうかな。
▽▲▽
あの後結局ヤケ酒をして翌日である今日は再び二日酔い。
何してんだ私は。学習能力無さすぎだ。
まあ二日酔いのところで学校へと行かなくてもいいしいっか、なんて思っているとピンポーンとチャイムがなった。
このチャイムはエントラスに人が来たことを知らせるものだ。
「はーい」
「宅配便です」
「あ、はい」
見慣れたエントラスを背景に某黒猫の宅急便の制服を着た男の人が立っていた。
実家からの荷物だろうか、何か頼んだっけ?なんて思いながら着替えてハンコを手に取ると丁度玄関のチャイムがなったので開ける。
「え…………」
「昨日ぶり」
「宅急便は…?」
「あー、あれはペテンぜよ」
なんだそのドヤ顔は。
扉を開けると、ドヤ顔をした仁王雅治が立っていた。
秒で扉を閉めた。