「みょうじさん…」
「やっほー、柳くんに呼ばれてやってきたよ。倒れたって聞いたけど案外元気そうで安心した」
ベットに座っている幸村は何度も何度も紙の上で見た。
「まだ少しだるいけど大丈夫だよ、一応検査入院だけどね」
「そっか、早く学校戻ってきてね。幸村くんなら大丈夫だって信じてる。」
「うん、ありがとう」
それから少しだけ話をして病室を後にする。
真っ白の空間にいる幸村は儚くてこのまま崩れ落ちそうで結末を知っていてもとても不安になった。
白い空間に浮かぶ藍色の髪がすごく眩しく見えた。
「みょうじ先輩…」
病室から出ると、まだ心配そうな顔をしている赤也がいた。
そんな心配そうな顔をしないでくれ、幸村は大丈夫だから。
「切原くんの反応見るからにかなり重病なのかと思ったけど、本人全然元気そうだね」
「赤也は大袈裟すぎる」
「でも!」
「うんうん、心配だったんだよね。でも、幸村くんなら大丈夫だよ。神の子って呼ばれてるんでしょう?神の子が病気になんて負けないよ。大丈夫」
「はい…」
「みょうじは赤也のお姉さんみたいだな」
「切原くんみたいな弟はほしいかも、毎日楽しそうだし」
「俺もみょうじ先輩みたいな姉貴ほしいっす!」
丸井の発言で少しだけ赤也含めテニス部の雰囲気が柔らかくなった気がする。
幸村にとってはツライかもしれないけど、幸村がいなくても少しくらいはこのテニス部は大丈夫だろう。
「今更だがみょうじ、突然呼び出して悪かったな」
「ううん、知らせてくれて嬉しかった。直接顔見れて話できて安心できたし。時間は沢山あるしまた来るよ」
「話し相手がいた方が幸村くんもいいでしょうし」
「うん、そうする」