玄関を開けると、「メリークリスマース!」と言ってクラッカーを鳴らす丸井がいてびっくりした。

昨日終業式で無事に冬休みを迎えて、今年のクリスマスもサミシマスだろうななんて思いながら、お酒でも買いに行こうと少し大人めの服を着て外に出ようとしたところでチャイムが鳴った。

誰だろうか、なんて思いながら玄関を開けると、クラッカーを鳴らす丸井がいた。
あとテニス部レギュラーが何人かいた。

2ヶ月前の合宿終わり以来私はあまり学校に行かなくなった。
理由としては、幸村のファンからのイジメがひどくなり、先生にばれかねないからだ。
上履きが植木鉢化してたときは笑うしかなかったし、そのまま引き返した。
やっぱり、合宿に行ったのがお気に召さなかったらしい。

友人たちには体調が優れないと言って、お菓子は諦めてもらっている。
かわりに、家のポストにお菓子がたくさん入ってくるようになった。
その中には丸井の分も含まれているようで男子中学生の字のメッセージカードが入っている。

学校のプリントも入っていたりするから、幸村が丸井のかわりにメッセージカードも持ってきてるんだろう。

ということで、この部屋を丸井が知ってるわけではないはずなのになぜここにいる。

まあ、理由はただ一つ、

「幸村くんに教わったの?」

「よくわかったな!」

「幸村くんと友人くらいしか知らなかったからね、今の今までは」

丸井の他には柳とジャッカルがいた。
ジャッカルがいるのは唯一の救いだと思う本当に。

「最近、学校で見かけないからな」

「体調すぐれなくてね」

「そんなときに押しかけて悪かったな…」

「ううん、今日は調子いいから大丈夫だよ」

「ならさ、クリスマスパーティしようぜ!おれんちで!他の奴らももうすぐ来るんだ!」

ニマーーッと満面の笑みでそんなこと言われたら、断れる人はいるだろうかいない。

今日は1人で寂しくお酒を飲みながらケーキを食べる予定だったが、みんなとワイワイも楽しいかもしれないな、なんて思って誘いに乗った。

「じゃあ、行こうぜ!」

ああ、でも、エントランスの自動ドアはどうやって抜けてきたのかは質問しないことにした。