朝食会場に入って、みんなに謝ると誰も責めてこなくてホッとした。

幸村が私の部屋に泊まったと知っているのは幸村の同室の柳、跡部、私たちマネージャーそして、幸村だけらしく、食堂に入って真田に口うるさく言われない理由がわかった。

「なまえちゃん本当に大丈夫?」

「小春ちゃん!大丈夫大丈夫!久々に外に出たから体がびっくりしちゃっただけ」

「なまえは引きこもりやからなぁ」

「蔵うるさい。一応、保健室登校してるから病弱ってことにしといて」

「無理だけはせんようにな」

「うん、ありがとう」

なんだかんだで蔵は優しいから嫌いになれないんだよね。
小春ちゃんに聞いたことだが、かなりモテるらしい。1ヶ月の告白回数は両手の指じゃ足りなくなる時があると言っていた。
四天宝寺だけではなく、他校の女の子からも告白されることもあるらしいくらいだ。

まあ、こんだけイケメンで優しくてテニス部の部長ときたらそりゃもてますよね。

「みょうじ大丈夫か?」

「真田くん」

蔵たちと入れ替わるように私の元へやってきたのは真田で。
昨日のことを知られていないとはいえ、少しドキッとした。

「随分無理をしていたようだが」

「普段、動かないからそのせいかな?心配してくれてありがとう」

「う、うむ」

少しむず痒いと言いたいような顔で返事する顔は年相応で、怖いと思っていたイメージとはまた真逆。
なんだかんだでちゃんと中学生をしていて安心する。

「なまえちゃん、今日は軽めの仕事ね」

「ドリンク配りとかタオル配りとか」

「そんなの悪いよ昨日だって仕事できなかったのに」

「重労働を初日からずっとやっててくれたのはなまえちゃんでしょ?交代ってことで!」

それは、若い彼女たちに手が荒れるようなことをさせたくなかったわけで…。

「そーいうこと!無理だけはしちゃダメだからね?お互い助け合わなきゃ。」

「ありがとう…!」