午後練が始まって少し経った頃にマネージャーの集まりでレモンの蜂蜜漬けを作りたいと提案したら、莉子ちゃんが「私もそれ思ってたの!」と言っていたので先ほどの相談というのはこのことだったんだろう。

跡部にも他の部員には内緒で…と言うと快諾してくれたのでよかった。

「じゃあ、作ろっか!」

「材料は景吾が揃えてくれたみたいだから、それを使えって」

「跡部さんには頭上がらないなぁ〜」

少し早めにみんなでお風呂に入り、食堂に集合してレモンの蜂蜜漬けを作り始める。

「出来上がったら、持ってきて一番に食わせろ」と跡部が言ってたと沙羅ちゃんが言っていた。

▽▲▽

無事に完成したので、跡部に持っていく分以外は冷蔵庫に入れさせてもらって明日まで寝かせる。

沢山作ったけれど明日になるとあっっという間に無くなってしまうんだろうなあ。

「じゃあ、これ景吾に持っていくね」

「お願いしまーす!」

跡部のところへと持っていく分は沙羅ちゃんに託して、私と莉子ちゃんは残りの片付けをする。
残りと言ってもそこまで多くはないからあっという間に終わり、自動販売機に寄ってから部屋に戻ると伝えて莉子ちゃんと食堂の出口で別れる。

「みょうじさん?」

自動販売機の目の前で何にするか悩んでいると、また幸村と出会った。
この自動販売機は幸村を惹きつける磁場でも出てるんじゃないだろうか。そんなことないよね、ごめん。

「幸村くんだ」

「またお茶買いにきたの?」

「今日はジュースです。レモン見てたらCCレモン飲みたくなったんだよね」

お金を入れてボタンを押す。
品揃え本当にすごいよなぁ。跡部の別荘だと言われれば納得してしまうから跡部も大概すごい。

「レモン…?」

「あーー、……これ秘密だったんだ。幸村くん内緒にしててくれる?」

「交渉次第かな」

「さすが幸村くん」

この人は人を揺さぶるが上手くて中2なのか疑いたくなる。
ついてきて、と食堂に案内して冷蔵庫から少しだけ取り出して渡すとパァッと顔が明るくなった。
ちゃんと中2だった。