事件が起きました。
いや、事件と言うには少し大げさすぎるけれど。

あ、テニス部の命に関わるとかテニス部のファンクラブの女の子が押しかけてきたとかそういうわけじゃないです。

「みょうじ先輩と幸村先輩って付き合ってるんすか?」

「は?」

「昨日、眠れなくてちょっと廊下歩いてたら先輩たち見かけて。違います?」

朝ごはんを食べている時に近くに座った赤也にそんなことを言われた。
そう、これが私の言う"事件"である。

「付き合ってるも何も…ただのクラスメイトだし…」

「ほんとっすか…?」

「昨日、飲み物欲しくて自販機行ったらたまたま幸村くんと会っただけ。あと、好きな人とか私は作らないから絶対にありえないよ」

20歳の大人が中学生に惚れたなんて言ったら捕まる自信すらある。普通に考えて犯罪。いや、付き合わなかったら犯罪じゃないのか??

「だから、例え誰かに私のことを好きって言われてもそれに応えることはないよ」

目玉焼きが良い感じに半熟で幸せだ。
私は醤油派なので個人的適量で醤油をかける。
日本!って感じの朝ごはん素敵だ

念を押して赤也に言うと「そうっすか…」と言って味噌汁を飲んでいた。

でも、謙也はまた話が別かもしれないという話はここだけの秘密。
だって推しですから。
ちょっとヘタレだけど自分でスピードスターと言ってるあたり可愛いよね中学生っぽいよね。

「なまえ、おはよーさん」

「あ、蔵おはよう。忍足くんも」

「おはよーさん」

噂をすればなんとやら(正確にはしてない)、謙也が蔵と一緒に朝食会場へと入ってきた。

蔵の隣に立つ謙也の髪にぴょこっと寝癖がついていて可愛い。

「忍足くん後ろ寝癖ついてるよ」

「ほんま?!」

「ほんまほんま、寝癖直し貸してあげるから直して来なよ。ちょっと待っててね」

朝ごはんもちょうど食べ終わったので、部屋に寝癖直しを取りに行く。

女子向けのフローラルな香りだけどまあいっか。