ほとんどの中学生が楽しみにしていると言って過言ではない体育祭がとうとうやってきた。
わたしは楽しみにしていない部類ですけど。

友人達は見事に係に駆り出されてしまったらしく、お昼だけ一緒することになった。

今は借り物競争中で、みんなの人気者幸村精市くんが走っている。
借り物競争に出ちゃうんだ可愛い。

やっぱり足が速い。

あ、小道具テントに走ってって…ラケット持ってゴールに走る。
部活の道具とか?と思っていると、見事に幸村の借り物が部活の道具だと放送される。
やったぜビンゴ。

運動部の子達はさすがだけどたまに文化部の子が運動部の子より足が速かったりするのはびっくりする。

そんな体育祭にはもちろん怪我はついものなわけで、さっきからたくさんの怪我人が救護テントに来ている。

「あ、みょうじ」

「丸井くんだ〜、お茶飲む?」

「やりぃ!」

キンキンに冷えたお茶をコップに入れて差し出す。

「で丸井くんはどうしてここに?」

「あ、そうだそうだ!ジャッカルがさっきの棒奪いで怪我してよ!」

お茶を飲みながら隣にいるジャッカルを差し出す丸井。
ジャッカルは腕を擦りむいてしまったらしい。うわ、痛そう
あと丸井は先にジャッカルを差し出してほしい。

保健の先生に手当をしてもらっているジャッカルにもキンキンに冷えたお茶を差し出す。

「ジャッカルくんは初めましてだよね」

「そうだな」

爽やかに笑うジャッカルは本当に立海の唯一の良心だと思う。
柳生もそんな感じするが、仁王と詐欺をする時点でアウト。

お茶を飲みきった2人に「頑張ってね」と送り出す。
ジャッカルのファンクラブは平和そうだなぁ。

午前の部ラストの綱引き予選が始まった。
決勝は午後からする予定だ。

午後一発目は応援合戦。
ウチのグループは男子は学ラン女子はセーラーをきてやるらしい。
この前練習をちらっと見せてもらったけど幸村がイケメンすぎてちょっと推し変しそうになった。

パンッと合図が鳴って綱引きが始まった。