部室内に1人残されるのは少し寂しいし、なにしろ知らない人たちが(ほとんど知らない人だけど)入ってきたら気まずさしかない。
なので部室棟の近くの人気が少ない花壇の近くで座って待つことにした。
今日の出来事がデータマンの柳の耳に入ってしまったら幸村に流れてしまうかもしれない。そうなったら幸村に迷惑しかかからない。
柳を口止めする手段を考えなきゃ。
キャラにはできるだけ関わらないようにしていたというのに、ここまでがっつり関わってしまうとは…。
この花壇からはテニスコートが少しだけ見えるんだけど、明らかに人が多い。テニス部員だけじゃなく女生徒も多いけど。
ああやって彼らがテニスをしているのを見ると本当にテニプリの世界に来てしまったんだと実感する。
立海に関してはたった14歳とかの子たちが3連覇という周りの期待があまりにも大きすぎてよく押しつぶされないなって思う。
「??」
花壇を見つめていたら、後ろから足音が聞こえてきて思わず振り返る。
「あ、柳くんだ」
「みょうじか」
「ぶか「部活は?…とお前は言う。ボールがここまで飛んできたから取りに来たんだ」
「なるほど、お疲れ様」
さすが柳というかなんというか。
言いたいことを汲み取られるのはちょっとビビるものがある。
「そうだ、柳くん。柳くんの中の私のデータってどれくらい集まってるの?」
「そうだな…名前、身長、体重、それと保健室登校というくらいか。あまり情報はないな。」
「そっか、ならいいんだ。ありがとう部活頑張ってね」
意外と知られている情報が少なくて笑いそうになったけど、女子の体重を知ってるのは如何なものか。
保健室にしかいないから情報収集があまりできないんだろう。
柳はコートに戻るときにふっと意味ありげに微笑んでいった。
なんだあの笑顔は。
そろそろ制服は乾いただろうか。
仁王のジャージは大きくてかなわん。
あ、今日の晩御飯は何にしようかな。