あのあと少しだけ話をして、チャイムがなりそうだったのでお開きになり、特に問題もなく放課後を迎えた。

先生に「また月曜日に〜」と挨拶したら、「またね」と言われたので私が教室に行くことを半分諦めているのかもしれない。
そっちのほうが私もありがたいからいいのだけど。

さて、今日は金曜日なので明日は休みだ。
ゆっくり呑むぞ〜!と思って着替えて電車に乗って東京まで出る。
さすがに学校の近所では買えないからね。
近くのコンビニに入って適当な本数をカゴに入れてレジへ並ぶ。

今日も無事に年齢確認されずに済んだけど、帰宅途中に同級生とすれ違った時に見られちゃまずいから外からお酒が見えないように中身を移動させる。

中学生ってこんなに窮屈だったっけ。
大学は基本的に自己責任だから自由すぎてそれに慣れてしまったからか?
なんだかんだで課題も多いし、中学生も大変だ。

再び電車に乗り、家へと帰る。
私の家の最寄り駅は立海の最寄り駅なので通勤ラッシュや帰宅ラッシュ時には必然的に立海の制服が駅に溢れている。
今回は帰宅ラッシュとは時間をずらしたため、比較的少ないけれどやっぱりちらほらといる制服姿の学生たち。

若いなぁ。いや、私も今は中学生か。チューハイを持ってる中学生なんて全国探してもいないだろうな。
ばれることもないだろうと呑気に改札を抜けて家へと向かう。

補習も何も無いからゆっくり寝れる。
買い物も行きたいけどとりあえず寝ちゃおうかな。
どんな休日を過ごそうか考えていると、最近よく見かけるようになった幸村が目の前から歩いてきた。
昨日より遅い時間だから、いないと思ってたんだけど…。

昨日とは服の系統も違うし、気がつかないよね?

黙って隣を通り過ぎよう。きっと分からないはずだ。

「みょうじさん?」

ばれたー!!
いや、なんでわかった?怖いぞこの人。
そうか幸村だからか。

「幸村くん」

「お買い物の帰り?」

「あー、うん。幸村くんは部活終わり?」

「うん。大会も近いしね」

「関東大会だっけ?頑張ってね」

「ありがとう」

2連覇はしてた記憶はまだあるからきっとこのまま全国大会まで勝ち進んでいくんだなぁ。
頑張ってる中学生を見るとおばちゃん泣いちゃう…!
最近は涙腺が弱すぎるのかすぐに感動して泣いてしまう。

「きっと楽しめたならそれでいいんだよ」なんて言ってあげたいけれど、それはまた今度の機会にしよう。

リョーマと試合をして気がつくのが彼にとって1番だろう。
勝利に固執する気持ちより楽しむ純粋な気持ちが強いんだってこと。

「みょうじさんお家この辺?」

「うん、すぐそこのオートロックのマンション」

「ああ、あそこか。よかったら送っていくよ?もう暗いし」

「大丈夫、すぐそこだから!幸村くんも疲れてるでしょ?大会に向けて体を休めて。体を休めるのも練習でしょ?」

「それを言われちゃ何も言えないな…。じゃあ、また月曜に」

「うん、また月曜に!」

お互いに手を振って家に向かって歩き出す。
話すだけでも彼のファンクラブの目が怖いのに、お菓子も差し入れし始めた上に家まで送ってもらってるとか言われ始めたら私の人生The end。

中学生がやるイジメほどタチの悪いものはない。
子どもだから遊び半分でやってしまうが故にヒートアップしていって、犯罪なみに酷いことが行われるんだもん。

できればそんなことに巻き込まれたくないんで。