「まあ、ほのぼのしてて老夫婦みたいな、お互い束縛しないのは憧れるけどね」
お弁当を食べ終わった後に、褒められてるであろうことを言われたので、褒め言葉として受け取っておくことにした。
「ありがとう」
「とりあえず、なまえは夏休み中に2回デートできたらいいほうだね、頑張れ」
ぐっとサムズアップをされたところで掃除の開始を知らせるチャイムが鳴った。
私たちは教室掃除なので移動が少なくて楽だ。
▽▲▽「じゃあね〜」
「また明日〜」
部活に向かう心とバイトに向かう澪と昇降口で別れて買い物に出かける。
そういや、明日で3か月だ。東峰は忘れているだろうからお祝いなんてしないけど。
SNSに流れてくる友人たちの記念日にとったプリクラを見てうらやましく思うのは日常茶飯事。
我慢だ。我慢。
夏休み中に部活休みの日とかないのかな?とか思ったりもして、連絡を取ろうとして辞めた。
一応私たちは受験生でもあり、就活生だ。私は専門学校を希望していて、東峰は就職を希望している。
宿題だってある。部活漬けの体を休めてほしい。
学校があるうちは学校で毎日会えるからいいけれど、夏休みは会えない確率の方が高いんだ、と考えただけでさみしさが増す。
そういや、私も来週から埼玉の祖父母の家に行くんだった。
夏休み入ってすぐだからバレー部との遠征ともかぶらないし、東京だって言ってたから余計にかぶらないだろうなぁ。
そういや今日も東峰とは挨拶くらいしか会話してないなぁ。
こんなんだから付き合ってるってみんなに気づかれないんだろうなぁ
まあ、静かに過ごせるからいいんだけどさ??
なんで東峰が私と付き合ってるのかもわかんなくて、菅原に聞いたことあるけど、「旭はみょうじのことちゃんと好きだよ。むしろみょうじよりも旭のほうが惚れるの早かったんじゃないか?」とまで言われてしまった。
門をくぐろうとしたところで後ろから運動部の走り込み軍団の気配がして、さっとよけたところで今聞きたい声NO.1の東峰の声が聞こえてきた。