「なんで屋上に集合させられてるんだ?」
「澪に聞いて」
「えー、では、これからなまえと東峰がクラス公認カップルになった事についての報告会を始めます」
「え??やっと?」
「やっとです!!!」
「昨日、東峰がなまえをお姫様抱っこして保健室に運んだところから事件は始まります」
「そして、今日の朝!東峰が!あの!東峰が!!『付き合ってるよ』って!!」
澪と心が菅原と澤村を呼び出して、私と旭も加えて6人でお昼ご飯。
昨日から今日にかけての一大事件を説明している。
澤村と菅原の反応からしてまだ他クラスには情報が回っていないんだろう。
「やっとかぁ、頑張ったな旭」
「よく言えたな」
「2人は俺のことなんだと思ってるの?!」
「「へたれ」」
「声揃えて言わないで!!」
バレー部主将副主将コンビに滅多打ちにされ、しょげてぼそぼそとお弁当のおかずを口に運ぶ旭。
私もあんな風に言ってくれるなんて思わなかったから、今回は澤村たちに賛成させてもらおう。
「いやー、やっとなんだなぁ」
「長かったなぁ」
「4人は誰目線なの本当に」
「「「「親??」」」」
「見事なシンクロありがとう」
謎のシンクロ率に拍手を送りたい。
のんびりと話しているとお昼休みが終わりそうだ。確か5時間目は、私の大切な睡眠時間の数学のはずだ。
食べきれなかったお昼ご飯のパンはその時に食べることにしよう。
▽▲▽放課後の体育祭練習の休憩時間で女子からまた質問攻めにあっている。
今時の女子高生は本当にコイバナが大好きなんだなぁ。休み時間もちょこちょこ聴いてきてたし。
私たちは世間のカップルのようなことをしていないに等しいから聞いても何も楽しくないだろうに。
適当に流して澪と心のところへと逃げる。
こういうのあるからバレるのは大変なんだよなぁ、と思うと同時に幸せを噛み締めるあたり私も相当の重症のようだ。
今日の放課後練習は部活に残った人たちも参加している。旭の姿もある。
やっぱりでかいなぁ〜、と思って見ていると、学年1可愛いと噂の1組の小桜さんが旭に話しかけ始めたではないか。
え。
なに?
あの2人に委員会とかの共通点なんてあっただろうか。
小桜さんに至っては少し頬を染め、微笑んでいる。
幸いにも騒ぎ出しそうな澪と心には見えていないみたいだけど、男子が少し沸き立っている。
クラス公認のカップルと化した私たちだからそんな小学生男子みたいなヤジは飛ばさないだろうし…。
あー、うん。旭だし大丈夫だよね。
なんて、思ってた私が甘かったみたいだ。
その日の放課後。いや、放課後の体育祭を終えて皆で帰っていたところで忘れ物をしたことを思い出して私1人で教室に戻ったのも間違いだったんだ。
だって、階段の踊り場で、
旭が小桜さんを
抱きしめていたのだから。