少しずつ言葉を紡いで私が思っていることを伝える。
普段なら絶対にこんなこと言わないけれど、熱のせいにして話してしまおう。
私の知らない旭が居て寂しかった。って。
全てを伝え終わると、旭は少しだけ嬉しそうな顔をしていた。
「知らないなまえがいるのがすごく寂しいって思ってたから、なまえもそうやって思ってくれてて少しだけ嬉しかった」
「私たちなんだかんだでお互いのこと知らないことまあまああるよね」
「少しずつ知っていけばいいよ」
「そうだね」
「とりあえず、なまえは熱下げて?」
「はーい」
旭と繋いでいる手とは反対の右手をあげる。
私の荷物は旭の左手にある。
そして、久しぶりに家まで送ってもらった。
お母さんもお父さんもいなかったから、大騒ぎにならなくて済んだけれど、いつかちゃんと話さなきゃいけないんだよなぁ。
とりあえず薬を飲んでおとなしくしておこう。
▽▲▽次の日学校に行くと、昨日の現場を見ていた女の子たちが私の体調を気遣ってくれる言葉をくれて嬉しく思っていると、旭との関係について質問攻めに合った。
旭は男子から質問攻めに合っている。
「なまえちゃん!東峰くんとどんな関係?」
「あーー…っと、」
「付き合ってるの?!」
「えーーっと……」
澪と心に助けを求めようとしたけど、ここでうやむやにしたところで昼休みや休み時間もまた同じことが行われかねないし…。
どうしようかと考えあぐねていると、
「付き合ってるよ。」
という旭の声が聞こえてきた。
あーあ、言っちゃった。言っちゃった。いや、まあよくここまで隠せたなとは思うけどこんなあっさりばらしちゃった。
「やっぱり!どっちから?なまえちゃん?東峰くん?」
「あ、っ私から」
「えー!何ヶ月??」
「今度の水曜で5ヶ月かな……?」
クラスの女の子たちはこういう話が好きで、「えー!いつのまに!」「4月から?!気がつかなかった!」なんた声が上がるなかどんどん質問が増えてくる。
旭もなんで言っちゃうのかなぁ?なんて思うけど、これで旭を狙ってた女の子はあきらめてくれるだろうしいいのかな。と思ったりもする。
「ちょっと早いけどHRはじめるぞ〜!お前らみょうじと東峰の机に集まってどうした」
次は教室に入ってきた担任に助けられた。
旭がいつもみたいにワタワタせずにちゃんと私と付き合ってると言ってくれたことはとても嬉しかったなぁ。