夏祭りの翌日、私はベッドでうずくまっていた。
あー、もう、安定の女の子の日だ。
2日目までは死ぬほど頭も痛いしお腹も痛いし動けない。
母にいってとりあえず薬を持ってきてもらって飲む。
情緒不安定すぎる。
旭に会いたいし、抱きしめてもらいたい。
でも、旭は部活だからダメだ。
今日は県内の高校と練習試合って言ってたっけ。
これなら練習試合後にも会えない…か。
「で、私が呼ばれたわけね」
「ごめんよ澪…心は部活で抜けられそうにないって…終わったら来てくれるって」
「いいのいいの。生理の日は私も情緒不安定になるから」
「ありがとう…」
「東峰にもそうやって気持ちぶつけられたらいいのにね」
「まあ、うん…。迷惑にはなりたくないし…」
「迷惑だと思うのかなやっぱり男は。」
お昼を過ぎて心と澪に呼び出しをかけて、澪に家に来てもらった。
心も練習試合らしくって、終わった後に来てくれるって言ってた。
15時ぐらいに終わるって言ってたから、もうすぐだろう。
あー、もうほんと情けない。
「情けなさすぎ…」
「仕方ないって。それほど東峰のことが好きってことでしょ」
「んー……」
考え込んでいると、ピンポーンとチャイムが鳴った。たぶん、心だ。
母親は見事に夜まで出かけてるため、玄関を私が開けなきゃいけないけれど、動けそうにないので澪に開けてもらう。
心に喝を入れてもらいたい感すらある。
ドアが開いた先には私が今1番会いたい人がいた。
「?!旭?!部活は!!?」
「帰ってたら連行された…」
「心?!」
「心さんに感謝しなー!毎月毎月2日目まではなまえ情緒不安定になるし、3年になってから本当にひどいから東峰連れてきた」
「私たちリビングいるから、ちゃんと話しなよ??」
心と澪は我が家に居座りすぎて、たまに驚くくらいだ。
お母さんもなんとも思ってないから、普通にリビングにいても驚かない。
「ちょ、!」
2人を止めようとしたけれど、閉じられたドアに阻まれた。
「『なまえが東峰に会いたがってるからきな!』って言われてきたんだけど…」
「事実です…」
「言ってくれれば良かったのに」
「迷惑かなって…今私情緒不安定で、旭に何言うかわかんなくて。」
「迷惑なんかじゃないよ。むしろ、なんでも話してくれたほうがいい。」
ストンと私が座っているベットの前に座る。
旭の顔が私より下にあるのが面白い。
「旭、あのね、ぎゅーってしてもらってもいい?」
「もちろん」
旭の膝の上に飛び乗って、抱きしめてもらう。
「旭、好き。大好き。」
「俺も」
「こんな女迷惑じゃない?」
「全然。むしろ俺のほうが迷惑かけてる」
「そんなことない、」
「そんなことあるから、今回だって俺のこと頼ってくれなかったんだろ?」
「うっ………」
「もっと頼ってくれていいんだよ」
「うん。あのね、夏休みもたくさん会いたい。バレーしてる旭も見たい」
「休みの日わかったら連絡するし、練習試合の日も教える。応援に来て」
「行く」
「あとは何か俺にしてほしいことある?」
「もう大丈夫。でも、旭充電できたら眠くなった」
「じゃあ、なまえが眠ったら帰るね。また夜LINEする」
「うん、おやすみ…」
旭に頭を撫でられながら、眠りにつく。
ああ、なんて落ち着くんだろう。
旭が大好きだ。