「待ち合わせ場所とか心たち決めて……」

「いいの?なまえの家とかにしちゃうよ?お父さんと東峰ばったりハプニングがワンチャンあるよ?」

「そのハプニングはノーチャン。お父さん明々後日まで大阪出張」

「ちっ、東峰に気合いが入るかと思ったの」

「どうせ旭も死んでるから…澤村たちに任せるよ…」

「まあ、私たちがなまえを可愛くする時間もいるしいっか。とりあえずなまえの家14時集合ね、で、16時に駅前でいっか。東峰の服装に希望ある?」

「特にない……」

「まあ、男子だし浴衣はあんま持ってないだろうから、浴衣の隣歩いても恥ずかしくない格好にしてもらおっか」

そうだ、忘れかけていたがここはプールの更衣室だ。
とりあえず外に出ることにしよう。
ベンチがあったはずだから、そこでまた話を進めよう。
髪は半乾きだけど気にしない。

「なまえの家に私たちが行って、一緒に出たら怪しくないからそうしよっか」

「そうだね、東峰の方は澤村たちに任せることにして…」

「ご迷惑おかけしております………」

「東峰のメッセージがどんだけ衝撃的だったのよ、日本語話せてないじゃない」

一応話してるつもりなのだが。
とにかく、明日の話がなんとなくまとまってきた。

今日家に帰ったらお母さんに浴衣を出してもらって、パックしてゆっくり寝なきゃ。

あー、やばい。デートなんて久しぶりだ。
旭が休部してた時以来だと言ったら心たちは怒るだろうな。

お母さんへの言い訳を考えてくれる心と澪には本当に感謝だ。
ちゃんと紹介するべきだろうけど、恥ずかしい。
あの人は言いふらすに違いない。

「じゃあ、明日は14時に行くね。」

「うん、今日は本当にありがとう」

「いいんだって、向こうだって澤村たちが計画立ててたんだし」

「ほんとありがとう」

「澤村たちにもいいなよー?じゃあ、また明日ね!」

家に入り、お母さんに「明日夏祭り行くから、浴衣出しておいてね」と言うと、楽しそうに浴衣をしまっているタンスの方へと歩いて行った。

「今年も心ちゃんと澪ちゃん?」

「あ……うん、」

「今年で最後になるかもしれないからねぇ、寂しくなるわね」

「そうだね…最後の夏だ…」

旭も就職組だから、多分夏祭りも行けなくなる。
今年はたくさんの"最後"を経験するんだなぁ。
その分、たくさんの"初めて"を経験しているけれど。

「心と澪が明日、家にきて、髪をセットしてくれてから一緒に出かけるね」

「わかった、着付けだけすればいいのね」

「うん」

心たちとも行きたかったなあとつぶやくと、8月に花火大会があることがわかったので、それは心たちと行くことにした。