今日は心たちとのプールの日だ。
忘れ物がないかしっかり確認をして、浮き輪も持って家を出た。
更衣室で着替えて、外に出ると当たり前だが、人がゴミのようにいた。
「さすが夏休み〜…」
「とりあえずなまえの浮き輪膨らませようか」
「そうだね、その後流れるプール行こう」
管理室で自動空気入れを貸してもらって浮き輪に空気をいれる。
プクプクと膨らんでいく浮き輪を見つめながら、今頃旭は体育館で飛んでるんだろうなぁと考える。
浮き輪も無事に膨らんだので、心と澪と一緒に流れるプールで流される。
「なまえはさ、夏休み東峰と会う約束してるの?」
「部活いつ休みかすら知らないよ…」
「全国目指すって言ってるからねぇ」
「我慢しすぎはダメだからね?」
「その件は大丈夫です〜この前ちゃんと旭と話し合ったので」
「ならいいけど!よし、ウォータースライダーいこ!」
この言葉を皮切りに、全力でプールを楽しんだ。
高校最後の夏だ。楽しんだ勝ちだ。
▽▲▽着替えを終えて、髪を乾かしていると、LINEに旭からメッセージがきた。
何事かと思えば、"明日午後から休みになったんだ。花火大会いかない?"と。
ゴトンと熱風を吐き出しているドライヤーを落としてしまった。
「なまえ?!熱いから!」
澪が慌てて私のドライヤーのスイッチを切る。
さっきまで明日の花火大会は心と澪と行くって話をしていたのに、旭が爆弾を落としてきたし、とりあえず可愛い浴衣家にあったかな…なんて考えてしまう。
日本語がうまく話せない。
「文句は旭に言って…私の思考回路はショートしましたお疲れ様でしたさようなら…」
「まって!生きて!!東峰が何したの!」
「旭が悪い。爆弾を落としてきた。あいつは私を殺す気だ。」
「だから、東峰がどうしたの…」
ロック画面に表示されるメッセージを差し出すと、わたしの右手の親指も持って行かれてロックを解除される。
何してくれてんだ!と思ったけどそれ以上に旭からのメッセージの方が破壊力はやばい。
「"なまえは東峰のメッセージで死にました"……と」
「"明日は思いっきり可愛くして送り出すので待ってて"とも送っといて」
心も澪も変なこと送らないでほしいけど、止めるような気力も残っていない。
旭はたまに私に大量の砂糖をくれるから気が抜けない。
「あ、既読ついたついた〜」
「"旭は送られてきた2つ目の文で死んだ"だって、これ確実澤村だな」
「とりあえず、真っ赤になって椅子の上に体育座りして顔を押さえてるなまえの写真送りつけとこ」
パシャりと撮った写真は確実に髪はボサボサで女子力なんて皆無だろう。
とりあえず顔が熱い。
「東峰もなまえと同じ格好してる」
「あんたたちほんと似てきたね」
「それ喜んでいいの…?」
旭と私の名前でLINEをしているはずなのに、こっちは心と澪が文字を打って、向こうはきっと澤村と菅原が文字を打って会話をしているんだろう。
待ち合わせ場所も時間ももういっそのこと決めてくれ。正気を保ったまま相談できそうにない。