おばあちゃん家に着いて、家の中に入る前にパーカーを脱いでバレないように、まず冷凍庫の中に蓋に名前を書いたアイスを入れる。
こんな遅くに洗濯機回すの怒られそうだけど、早めに洗って早めに返したい。
今日のことで森然が冷えることがよくわかった。

「あんたなに夜に洗濯機回してんのよ!」

「しょーがないでしょ!急用!明日いるの!」

「ふーん……」

呆れた目で見てくる母親を尻目に洗濯機をガラガラと回す。
死ぬほどうるさいからこれいつか壊れるぞ……。早く買い換えたほうがいいと思うよおばあちゃん。

洗濯機を回している間、夏休み特番を見る。
ここは宮城じゃ見れない放送局も見れるから楽しい。
アイスはお風呂上がりには固まっているだろうな。

そうしていると洗濯機が止まり、中からパーカーを取り出す。
洗ったのはいいけれど、どこに干すべきか。と思っていたら、後ろから2つ上の大学生の従兄弟のお兄ちゃんの声がした。

「それ男物じゃん」

「うっ………」

「どこ干すの?おばさんに怪しまれるでしょ男ものなんて。おじさんに至っては騒ぎまくりそう」

「それはそうなんだけど…早く返さなきゃいけなくて…」

「森然で合宿してる奴らに借りたの?」

「まあ、そんなところ。私の高校もきてるし、クラスメイトとばったりコンビニで会って貸してもらったの」

「ふーん…彼氏か。」

「?!」

「図星。まあ、それ俺のものってことにして干しておいていいよ」

「ありがとう……」

「お礼はハーゲンダッツでいいから」

「高校生にたかるな鬼!」

「なんとでも言ってくださーい」

従兄弟のお兄ちゃんはちゃらくてあまり得意ではないのだけれど、今回だけは感謝だ。
ハーゲンダッツは絶対に買ってこないけどね!!

まあこれで堂々と干して早めに東峰に返すことができる。助かった。
伸びないように、きちんと干したところで、母親にお風呂に入れと言われた。
そうだ、明日は5時に集合だった。
早めに寝なきゃ。

心達にも東峰と会えたことを報告しなきゃ。
明日も潔子に会えるかな?潔子にも話を聞いてほしい。

そういや、お父さんが明日合宿中のみんなにスイカを差し入れするとかなんとか言っていた。

その時に食堂で潔子に会えるかもしれない。
楽しみだ。