突然だが私は今森然高校にいる。
まあ、バイトを受けたからということもあるのだけど、「合宿を行う顧問の先生に挨拶をするから行くぞ」と父親に駆り出されたのだ。
なにせ、父親の知り合いらしく話が死ぬほど弾んでいる。
話の感じを聞く限り同級生らしい。
そうそう、ここで1つ問題が浮上した。
合宿を行うのはバレー部らしいのだ。
しかも、烏野もくるらしい。
なんだろこの偶然は。
先生は「生徒と接触することは少ないと思うから安心してくれ」ってお父さんに笑いながら言ってた。
ごめん、お父さん。烏野のバレー部員に彼氏います。
でも、迷惑かけてはいけないから東峰との接触は避けることにしよう。
バレー部員にばれた時は全力で口止めをしよう。
念のために潔子に連絡したら「夏休みに会えるの嬉しい。」と言ってくれた。「タイミングを見計らって会いに行くね」とも言ってくれた。
「じゃあ、火曜日の10時半に食堂にお伺いしますね」
「よろしく」
先生との長い話を終えたお父さんとおばあちゃん家に戻る。
火曜日からのバイトは大変だろうけど頑張ろう。
課題もちゃんとやらなきゃな〜なんて思った。
こんな楽しみな夏休みは久しぶりだ。
あ、ちゃんと東峰からもらったネックレス毎日つけてます。
▽▲▽「潔子〜!」
「なまえ!こんな早く会えるなんて思わなかった」
ついにやってきた火曜日。
お昼前に食堂に挨拶に来たマネージャーさんの中に潔子を見つけて思わず抱きつく。
他校のマネージャーさんがびっくりしている。
「あ、烏野のみょうじなまえです。祖父母の家がここの近所で父が学校のOBってことでここでお手伝いしてます」
おばちゃん達との挨拶が終わった後に、マネージャーさんと机に座って会話をする。
ちゃんと休憩もらってます。サボりじゃないからね??終わったらめちゃくちゃ働くので!
「へー!じゃあ、烏野に知り合い多いってことだ」
「雪絵…当たり前だからそれ」
「あ、でも、迷惑になりたくないから、黙っててもらってもいいかな?」
「それは全然いいよ〜!じゃあ、私たち練習戻るね!顔合わせそろそろ終わりそうだし。じゃあ1週間よろしく」
「こちらこそ!」
梟谷、音駒、森然、生川、そして烏野が今回の合宿の参加高校らしい。
さて、休憩も終わりなのでお昼ご飯作りを頑張ることにしよう!
とにかく覚えることがたくさんだし、おばちゃん達に「彼氏はいるの?」とか聞かれたりしてどうにかこうにか逃げ切る術も覚えた。
気がつくとご飯が出来上がっていて、食堂の外からザワザワと声がしてきた。
バレー部の皆んながゾロゾロと来始めたらしい。
私はそろそろ退散することにしよう。
「夕方にまた来ます」とおばちゃん達に伝えて一旦家に帰ることにした。
そういやさっき携帯を確認したら、東峰からLINEのメッセージが来ていた。
"俺らの合宿先も埼玉だった"
"私のおばあちゃん家の近くに森然高校ってあるけどそこだったりする?"と今送ったところだ。
そうするとすぐに既読がついて、
"そこ!"
と元気に返事が来た。
"そっか!ならコンビニとかで会うかもね〜"と送ると、
"だね"
と返信が来たので、"頑張ってね"と送って会話を終えた。
東峰の練習の手助けが、食事の面でできていると考えただけで少し嬉しくなるし、会えないと思っていた夏休みに姿が見れるかもしれないと考えただけでウキウキしてきた。
バイト頑張れそうだ!