「潔子ちゃん…水もらっていい?」
「本当に大丈夫?」
「練習もうないし寝てれば大丈夫だよ…あっ、黒尾に呼ばれてるんだった、行かなきゃ…」
練習が終わり、女子部屋に戻った時に少しふらついてしまったところを潔子ちゃんと仁花ちゃんに見られてしまったのだ。
潔子ちゃんに軽い熱中症だろうと言われて先生たちを呼ばれそうになったが、部外者の私が迷惑かけていいわけがない。
大人しく寝て明日までに根性で治すしかない。
「ダメよ。無理してもっと体調崩してしまう」
「うう……じゃあLINEしておく…」
「うん、それがいいと思う。とりあえず水とお粥ここに置いておくね。片付けしてくるから待っててね」
「何から何までごめんね…」
「ううん、いいのよ。困った時はお互い様でしょ?」
「ありがとう……」
食堂の後片付けに向かう潔子ちゃんを見送って、カバンの中から携帯を探し出し黒尾にLINEをおくる。
"ごめん、体調崩した。明日行く"
はあ、情けない。体調を崩すなんて久しぶりだ。
宮城から東京に来た時は環境の変化について行けずよく崩していたっけな…。
結に相当心配されたなぁ。
手の中にある携帯が揺れた。
「……もしもし」
『大丈夫か?』
「うーん、一応。潔子ちゃんに介抱してもらったし。黒尾たちは大丈夫?」
『お前は無理しすぎなんだよ』
「いや、特に無理した覚えはない…」
『無理してるって。なぁ?』
「え、そこに誰がいるの」
『烏野の主将くん』
「は。じゃあ、切るね。バイバイ」
『ちょ!まてっ……』
なんでまた頭がこんがらがることを言うんだ黒尾は。
もしかして今日の呼び出しも私と大地を合わせるためだったのだろうか。
それなら行かなくて正解だ。
まだ心の準備ができていない。
「大地のバカ……黒尾のバカ…」
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