「すっげー!あれ東京タワーか?!」

「あれは鉄塔……」

烏野高校と顔見知りらしい音駒がお迎え係。
私はひたすら海くんの後ろに隠れて彼の視界から外れることを努力する。

なんで私までここに来なければならないの…

「みょうじさん大丈夫?」

「うん…でもまだ盾にさせてね海くん…」

烏野には美人系とかわいい系のマネージャーさんがいて、きっと美人系の人は同い年でかわいい系の子は後輩ちゃんだろう。

研磨が冷たい目で見てくる。
その目だけはやめてくれ…。さすがの私でも傷つく。
急に連れてこられて、心の準備ができていないの。

「みょうじさんは結局、誰から逃げてるの?」

「向こうの主将の澤村大地。」

「あー、あの人」

「クロは知ってるの?」

「"烏野には会いたくない人がいる"ってことだけかな。」

烏野の人たち側から海くん、私、研磨の順に並んで歩く。
平均身長より高い私でも普通に隠れられるから、バレー部員って本当に背が高い。

坊主の子を先頭に歩いて行くが、宿泊室に荷物を置きに行くため、女子と男子とで分かれることになった。

「じゃあ、マネージャーさんはみょうじの方に着いてって。他の奴らは俺な」

できるだけ海くんの後ろに隠れつつ、烏野のマネージャーさんと目を合わせる。
大地とは絶対に合わせないようにしなければ。
いっその事知らないフリをしてしまえばいいんだろうけど、そんな器用なこと私にはできない。

「みょうじ体育館まではわかるよな?じゃあまたあとで」

「いや待って。女子の部屋知らないんだけど。」

「女子は3-2だよ、多分梟谷の人たちいると思うよ。なんかあったら電話して?電話番号教えてたよね?」

完璧放任主義の黒尾の補助役の夜久くんが助け舟を出してくれる。

「あー、うん多分入ってる。なんならLINE電話する」

じゃあ、と言って大地と顔を合わせる時間を少しでも減らしたいのでマネージャーさんたちを連れて宿泊室へと向かった。

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