「だから、やらないって言ってるじゃん。私はもうバレーは忘れるの」

「音駒じゃ無理だろ」

「無理……じゃない!」

「とっとと折れてくれよ〜」

「折れません!ていうか、いくら男子の方の先生が休みで女子と一緒にバレーするからって絡んでくるな女子の列にくるな男子の列に帰れハウス!」

「はいはい。」

体育の時間まで絡んでくる黒尾に嫌気がさしながら追い払う。
日常茶飯事のため、先生も生徒も慣れたものだ。
ここ最近、女子はバレーをしているため余計に酷い。
今日に至っては、男子の方の先生がお休みのため、合同でバレーをすることになった。

「コントは終わった?」

「コントじゃないですけど終わりました…おさわがせしてます…」

「じゃあ、始めましょうか」

準備運動を終えて、4人グループに分かれてトス練習を始める。

「なまえちゃんって黒尾くんにバレーのことでものすごく絡まれてるけど、バレーすごく上手だったの?」

「いや、中学の頃にチラッとやってただけだよ?その話したらマネージャーやってくれって絡まれちゃって…」

「そうなんだ〜黒尾くんって諦め悪そうだよね」

「なまえってば3年間ずーっと黒尾に追いかけ回されてんのよ」

「追いかけ回すって表現…」

「いい迷惑よ本当に」

トスの練習もほどほどにして、話に花を咲かせる。
私と黒尾と3年間同じクラスの、桜は私と黒尾の関係をよくわかってくれている。
3年になって初めて同じクラスになった、仲良しグループの美紅ちゃんと紗羅ちゃんに事情を説明する。


「危ない!!」

ふっと声がした方を見ると、ボールが飛んできていた。
きっと男子がふざけてサーブをしていたものが飛んできたのだろう。

何してんのよほんともし女の子たちが怪我をしたらどうするのよ…。

「危ないなぁ、」

スッとボールの下に入ってポンっとレシーブをする。
きちんと勢いを殺して。


「…あ」

目の前で黒尾がニヤリとしているのが見える。

あー、しまった。

「なまえちゃんすごーい!」

「あっ、うん…ありがとう…」

「男子!ふざけないでちゃんとやりなさーい!」

先生からお叱りを受ける男子たち。それより私はあそこで笑ってる黒尾をどうにかしていただきたいです。

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