「いや、私もう…」

「ラストの試合はチーム関係なしに混ぜてランダムで決めたチームで試合するんだ。みょうじも参加しようぜ。監督には許可もらってる」

「………やりたい…」

「決まりな!午後練の最後な」

「うん。仕事ほったらかしにしてごめんね。ドリンクとか大丈夫だった?」

「烏野のマネージャー達がやってくれたからさ。"菅原がごめんなさい"って」

泣きぼくろさんのことを呼び捨てにしているからきっと潔子ちゃんだろう。
潔子ちゃんにはとってもお世話になってるなぁ。

「先体育館戻ってるな」

ポンと頭の上に手を置いてから体育館へと戻る黒尾を少しだけ見つめて、私も体育館へと戻ると、チーム分けが少しずつ行われていた。

「みょうじさん、なんでそっちにいるんすか!」

リエーフくんがなんでですか!と迫ってくる。でかい!でかすぎる!

「俺が誘った」

「黒尾と研磨と同じチームか…」

「みょうじさんバレーできるんですか!」

「中学の時に少しだけね」

黒尾と研磨と同じチームってことで少しだけ安心した。

対戦相手は音駒はリエーフくんがいて、烏野は大地と泣きぼくろさんがいる。

「みょうじサーブな」

「は?!」

「まあ、遊びみたいなもんだし、楽しもうぜ」

「答えになってないから……」

ぽいっとボールを私に渡してコートへ向かう黒尾の背中を追いかけて私もコートへ向かう。

さすがに男子用のネットは高い。
私じゃ全力で飛んでも指先がでないと思う。
ネットの向こう側に大地の顔を見るのは久しぶりだ。

ふぅーっと息を吐いて、数歩下がり、ジャンプサーブを打ち込む。

「ナイッサー」

「……!」

ネット越えるか不安だなぁ。と思いながら打ったけれど、余裕をもって越えてくれた。よかった。
リエーフくんに拾われてしまったけれど

手の痛みがとても嬉しい。
あんまり全力ではできないけれど楽しもう。

アタックは黒尾任せ。こいつも相当飛ぶなぁ。
研磨もすごく頭を動かしているって感じる。

大地はレシーブが安定してるなぁ。
私の中学時代のレシーブの先生だった。

ぼーっと昔を思い出していたら、向こうチームの木兎のアタックが飛んでくる。
全国レベルのエースのボールを一般女子がレシーブできると思うなよ!

とりあえず上げたら黒尾や他の人がなんとかしてくれるだろう。

「あがれ…!」

一応あげれたけれど、明後日の方向に飛んで行ってしまった。
難しいなぁ。

「お前よく触れたな」

「上げたらなんとかしてくれるかな〜って。久しぶりに本気でバレーやりたくなってきた」

「まあ、無理すんなよ」

「わかってる〜」

バレーってやっぱり楽しい。

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