大地さんが何組だったか覚えていないんだけど…!!
全体練習のあとの個人練習のお手伝いをしたいとお願いしようと3年生の教室に来たのはいいけれど軽く迷子だ。

朝練のときに、あまりにも遅くなるからマネージャーは安全面を考えると帰るのがいい。ということを言われてしまったけれど、それはさすがに申し訳ないので、家が近い私だけでもお手伝いできないかと思いお願いをしに来たのだ。

「居た!」

廊下で、女子の先輩と話している大地さんを見つける。
確か、あの人は女バレの元主将の道宮先輩。
とっても明るくて活発で素敵な人だと噂で聞いたことがある。とても美人さんだ。

「お?みょうじどうした」

2人が話し終わってから声をかけようとしていたのに!
道宮先輩確実に大地さんのこと好きじゃん?!
私が邪魔しちゃダメな雰囲気だったのに……すみません道宮先輩……。

「あっ、お話中すみません。部活後の練習なんですけど、私も球出しとかのお手伝いしたいなぁと思って…」

「え?!みょうじさんだっけ?いくら夏だとは言ってもさすがに女の子は危ないよ…!」

「そうだな、さすがに俺もお願いできないな」

「あ、じゃあ、忠くんに送ってもらうってことでどうですか。まだ許可もらってませんけど」

「山口か………、月島は?」

「あ〜……、蛍くんは多分、自主練には参加しないと思います。彼、まだ私とも壁があるし、部活にも壁を作ってます。」

「………そうだな、じゃあ、山口に絶対に家まで送ってもらうこと!これ条件な。今日中に交渉すること」

「はーい!」

失礼しました、と道宮先輩に頭を下げて、忠くんの教室へと向かう。

忠くんの教室はもう迷わない。なぜなら、この前行ったからだ。
廊下側の席に忠くんがいたため、声がとってもかけやすい。

「忠くん忠くん。」

「はい!」

「今日から始まる自主練、私も付き合うことにしたから。で、その条件が忠くんに送ってもらうことなの。蛍くんはきっと参加しないだろうから、忠くんにお願いしたいんだけど」

「俺はいいですけど……ツッキーが…」

「蛍くんがなんか言ってきたら、私のせいにすればいいよ?あ、授業はじまる!また放課後ね!」

私のこの行動が後々波乱を呼ぶなんて今は誰も知らなかった。