伊達工業に無事に倒し、今は青葉城西高校との試合中である。
「がんばれ…!」
がんばれ、がんばれ、がんばれ!
1点、まず1点返そう!
いける、まだ勝てる…!
負けないで。
今の烏野の試合をもっと見せて。お願いだから。
「…………終わった。」
ピーーーっと試合終了の合図の笛が鳴る。
勝者、青葉城西高校。
3年生にとっての最後のIH予選が終わってしまった。
▽▲▽あれから私たちは烏養さんの奢りでご飯を食べてそれぞれの帰路についた。
どんな声をかけていいのかわからなくて沈黙が続いていて。
部活だから、と割り切ってたとしても負けたらツライものがあるだろうと思って声をかけられずに、次の日の朝になってしまった。
「蛍くん、今日の部活遅れていくね」
「………今日は休みですケド」
「でも、集まるでしょ?うちの部員は」
「そうですネ」
いつも通りの会話ができたことに安堵して学校に向かう。
いつもの道で、いつもの教室なのに、どこか違和感を感じるのは隣の席の西谷くんが静かであるからだ。
部活動禁止中の時と雰囲気が似ている。
放課後になると、田中くんたちと合流したらしく、体育館へ向かっていった。
私はみんなとは逆方向に歩き出す。
体育館から奇声が聞こえたけど多分、日向くんと影山くんだろう。
私は私なりのケジメをつけなければならいから、体育館は後回しだ。
▽▲▽用事を済ませた私は体育館へと急ぐ。
少しだけ走りやすくなった体を目一杯動かす。
「すみません遅れました…!」
ちょうど休憩時間だったらしく、みんなが集まっている時に体育館の扉を開く。
「おー、良かった来た来た。遅れて来るとか言っときながら辞めるかと思った………よ?!?!」
「みょうじ……、お前……髪!」
「?!茶色…?」
「なまえちゃん髪切ったの…?」
みんなが私を見ての第一声が髪型のことに関することで少し面白い。
みょうじなまえ、髪を切りました。