あのあと杏樹に31をおごって、解散して今は家へ続く道を歩いている。
隠したままでは鉄朗さんの言う通りで、これからいろいろと不便がでてくるんんだと思う。
これから強くなる彼らは強化合宿などで他校と一緒になった日には…。

「ただいまー」

そう言いながら玄関を開けたところで、最近よく見かける靴が玄関に並んでいた。
一瞬考えたが、蛍くんがここに人を呼ぶとしたら、山口くんだろうと簡単に答えにたどり着いた。

おいしいと杏樹が言っていたショートケーキを買ってきているのだけれど、山口くんがいるなら、一緒に食べよう。
声をかけに部屋に行こうとして、リビングよりも先に階段へとむかうと、山口くんが階段の上に立っていた。

「みょうじさん、お邪魔してます」

「おいしいケーキ買ってきたから、蛍くんも呼んできて食べよう?」

「あ、はい!その前に、お手洗いお借りしますね」

「じゃあ、私は蛍くん呼んでくるね。リビングはそこだから」

そんな会話と山口くんとして、蛍くんに声をかけて、紅茶をいれみんなで食べることにした。

晩御飯前にケーキを食べるのはすこしタブーかもしれないが、甘いものは別腹だ。
ケーキを食べながら、部活中にはあまりできない昔話を聞いた。
蛍くんと山口くんは性格が真逆と言ってもおかしくないくらいなのに、一緒にいるのはまずらしいなあと思ったけれど、杏樹と私も似たようなものだった。

あれからたくさんの話をして、晩御飯も食べてもらうことにした。
あと、山口くん呼びじゃなくて、忠くんって呼ぶことにした。後輩ってこんなにかわいいんだな

片付けまで手伝ってくれるといったけれど、帰り遅くなってしまったらご両親が心配するかもしれないので、丁重にお断りした。

また明日ね。と挨拶すると、また明日。と笑顔で返してくれた。

▽▲▽

「おはようございまーす」
「おはようございます」

朝練のために蛍くんと体育館に入ると、昨日大地さんたちと遭遇したスポーツ用品店の袋が目に入った。

「そういや、昨日店でこの間、坂ノ下で月島と一緒にいた女の人見かけたぞ」

袋からテーピングたちを取り出しながら、私の近くにいる蛍くんに話しかける。

「…そうですか」

意外とあっさりした反応で安心したけれど、大地さんたちは、蛍くんと一緒にいる女の人=私という方程式が出来上がってるんだろうな。
これは本格的にばれるのも時間の問題すぎる。