「月島…?」

龍くんとゆーくんが蛍に詰め寄って行っている。潔子お姉さまを周りで変な輩から守る時の顔をしている。
その詰め寄られている蛍の隣でワタワタとしている忠が可愛いと思えるくらい私の頭は冷静だ。

「まあ、1番怖いのは西谷でも田中でもなく、澤村だよ月島。」

「なまえちゃん…!澤村先輩こ、こわい…!というか、菅原先輩も怖いよ…」

あー…っと、そうでした。何より怖いのはこーちゃんとお兄ちゃん。
この二人にはできる限り黙っておきたかったほどだ。
だって、お兄ちゃんとこーちゃんはお父さん並みに煩い。

「お兄ちゃんたちに黙ってたのは悪かったと思ってるよ?でも、煩いのは事実でしょう?」

「でも、まあ……月島なら…うん」

「月島だもんなぁ」

え?意外とあっさり〜。塩ラーメンよりもあっさり〜。
蛍に対する信頼厚くね??伊達工の鉄壁並みに厚くね?

「なんだかめでたい話をしてるなぁ」

「「「「コーチ!」」」」

「櫻木!頼まれてたやつ」

「あ、ありがとうございます!」

コーチから花束を受け取る。
これは私からみんなへの感謝の気持ちだ。

「じゃ、これ!皆どーぞ」

一人一人へ手渡ししていく。
このメンバーとの思い出は絶対に忘れない思い出になるだろう。大げさだが、交通事故で記憶喪失になったとしても忘れない自信がある。

「まずは、お兄ちゃん!烏野でマネージャーに誘ってくれてありがとう。お陰で楽しい3年間がおくれました!ありがとう」

「次は、こーちゃん。こーちゃんの強さは本当に憧れ。私も強くなるからね。ありがとう」

「次は旭さん。旭さんは本当に怖かったけれど、大事な時はなんやかんやでちゃんと決めてくれる旭さんが大好きです。ありがとう。」

「潔子お姉さま!潔子お姉さまにはたくさん迷惑かけてごめんなさい。大好きです!蛍より好きです!」

お兄ちゃんたちに花を一輪ずつ渡す。
お兄ちゃん達の卒業の時に渡せなくて、今日まで練りに練ってきたのだ。

「んで、龍くん。龍くんはいつも明るくて部活のムードメーカーの1人で楽しかったよ。ありがとう」

「ゆーくん。ゆーくんが背中を守ってくれていたお陰で頼もしかったよ。ありがとう。」

「次はちーくん。ちーくんたちの代は問題児多くて大変だったろうし私の相手も大変だったよね?ありがとう。」

「きーくん。きーくんは逃げたって言ってたけれど、逃げもきっと必要なこともあるんだよって教えてくれたね、ありがとう。」

「んで、なっちゃん。なっちゃんにはネットのたたみ方とか沢山沢山教えてもらうことが多くて、お陰でここまでやってこれたよ。ありがとう。」

龍くんたちの代は部のムードメーカーが多くて沢山助けられていた。

「じゃ、次はやっちゃん!やっちゃんと初めて会ったときはこんなに仲良くなれるとは思わなかったよ。こんな私と一緒にマネージャーしてくれてありがとう。」

「翔ちゃん。翔ちゃんは初めて話しかけてくれたバレー部員で仲良くなれてよかった。ありがとう。」

「飛雄。飛雄は初めて会った時どうなるかと思ったけれど、どんどん印象が変わっていったよ。私の話沢山聞いてくれてありがとう」

「んで、忠。忠はとってもかっこいいよ。努力してる姿がとってもかっこよくて、憧れでした。ありがとう。」

「最後は蛍。蛍の第一印象は長身メガネイケメン。でも、性格は最悪でどうなることかと思ったけれど、人一倍かっこよくて、人一倍臆病で、そんな蛍が大好きです。これからもよろしく。ありがとう」

皆んなに渡したものはスイートピーである。
花言葉を沢山調べてスイートピーに決めた。

「なまえ、こちらこそありがとう。」

皆にこんなことを言われてしまったら、体育館で引っ込めた涙が溢れ出してきた。
卒業なんてなければいいのに。

「ありがとう。大好きだよ。」

涙が邪魔してうまく言えたかわからないけれど。
烏野高校排球部に3年間いれて幸せでした。ありがとう。

スイートピーをあなたに。
スイートピーの花言葉は
「門出」「優しい思い出」