私たちが1年生だった頃のバレー部員は今の部員よりも仲良しだった。
大地お兄ちゃんにこーちゃん旭さん、龍くんに、ゆーくん、ちーくんそして、なっちゃんにきーくん、潔子お姉さまが体育館の中に揃っていた。

「若いなぁ高校生」

「旭それ親父くさい」

「いや、もう俺ら20歳なんだからそろそろ小さい子からはおじさんって呼ばれるぞ…」

「東峰はやっと年齢が追いついたって感じよね」

卒業してからも定期的に集まっているらしく、皆の仲の良さは健在だ。
潔子お姉さまが言う通り、旭さんはやっと外見に年齢が追い付いたって感じだ。

「なんで、先輩たちいるんですか」

「月島〜?先輩たちにそんなことを言っていいのか〜?」

「もう!蛍も先輩たち挑発しない!龍くんも蛍につっかからないの!」

蛍はツンデレなのか嬉しくても感情に出すのが苦手らしくついついこんは態度を取ってしまうみたいだ。
最初はイラっとしたけれど慣れればこっちのもん。慣れって怖いね

「いつも早い飛雄と翔ちゃんが珍しくおそいね〜」

誰よりも早くいつも部活に来ていた2人が遅いなんて珍しい。
翔ちゃんは愛嬌があってモテるし、飛雄はあんな顔だけどモテるからきっと制服の第二ボタン争奪戦が行われてるんだろうな。

隣に立っている蛍と忠の第二ボタンどころか学ラン全てのボタンを持って行かれている。
さすがイケメンの集まり男子バレー部。

お兄ちゃんたちもこの放課後の集まりまでにボタンは全て女の子に奪われていたのは言うまでもない。

「どうせボタン争奪戦でも行われてるんだろ。そのうち来るだろうからミニゲーム始めようか」

大地お兄ちゃんのこの一言を機に、ミニゲームのチーム分けを始めた。
私たちは久しぶりに潔子お姉さまと一緒にドリンクを作ったりしてすごくすごく懐かしかった。
また新しく烏野での生活が始まるようにも思えた。

ドリンクを3人で作り体育館へ戻ると、いつの間にか翔ちゃんと飛雄が来ていてゲームに参加していた。

「この変人コンビが見れるのは一応今日で最後なのか」

「そーだね…日向くんも影山くんもみんな進路バラバラだもんね」

「なまえは県外だっけ?澤村が心配だ心配だって言ってたわよ」

「大地お兄ちゃん、お母さんみたいに煩いんですよ!心配してくれるのはとってもありがたいし、嬉しいんですけどね」

3人で楽しく話をしていたら1ゲーム目が終わったらしく、皆がドリンクを取りに来た。
現1、2年生には悪いけれど、烏野はこのメンバーの時が一番強かった。そう思ってしまうくらい圧倒的存在感で、圧倒的に仲が良かった。

私たちが卒業してしまったらもうここには揃わないかもしれない。
何人か揃ったとしても、全員はきっと難しいだろう。

"出会いがあれば別れもある"なんて言葉を考えた人を呪いたい。
別れのない出会いもあっていいじゃないか。
別れたくない人たちばっかり。別れなきゃならないなんて辛すぎる。

「そうだ!皆さんで写真撮りましょうよ!」

やっちゃんの提案でカメラをオート仕様にしてみんなで並ぶ。
一番前に私たち。2列目には龍くんたち。3列目は大地お兄ちゃんたち。
着替えるのが面倒だったから制服でいる女子2人とジャージの男たちと私服の女性。はたから見たら不思議な集団かもしれないがこの皆んなが一番落ち着く。

カシャ と音がして、皆がカメラに集まっていく姿を見ていると、すごく切なくなって涙が零れ落ちてきた。