2015年3月1日。
私たちは烏野高校を卒業する。


烏野に入っての3年間はとっても早かった。
教室では翔ちゃんに突然話しかけられたり、初めて体育館に来た時は、飛雄がいることにびっくりした。
蛍は未だにツッキー呼びは許してくれない。
忠は初めて見たときから大人になったなぁって思う。
ぐんっと背伸びをして校門をくぐり、第二体育館へと足を運んだ。

今日が第二体育館でバレーができる最後の日ということもあって、3年生全員が集まっていた。
大地お兄ちゃんたちのときもみんなで集まってミニゲームを朝からしていた覚えがある。

「おっはよー!皆、早いね〜」

重い扉を開けて、入部時より精神的にも身体的にも大きくなった皆に声をかける。

「お、おはよう…!」
「おはよう!」
「はよ。」
「おはよー」
「おはよ」

やっちゃん、翔ちゃん、飛雄、忠、それから蛍が扉の向こうには集まっていた。
1、2年生は今日は朝練はお休みにしている。

「皆早かったね〜、これおにぎり!作ってきたよ」

鞄の中からおにぎりの入ったタッパーを取り出す。
そーいや、翔ちゃんや飛雄、龍くんやこーちゃんの秘密の早朝練には毎日おにぎり作ってきてたなぁ。

「なまえちゃんありがとう」

「いーえの!今日で最後だと思うとすごく寂しくて作ってきちゃった。どうせそこのバレー馬鹿どもは朝ごはんなんて食べずにずっとやってるんでしょ」

図星か。
翔ちゃんと飛雄の肩がビクッと動いた。
そんなことだと思って少し多めに作ってきて正解だったな。

「今日でこの体育館ともお別れか」

「そうだね…なまえちゃんなんて県外の大学だから余計に来れなくなっちゃうもんね…」

「やっちゃんは県内進学だよね。デザイン科だっけ。大学違ってもたまには遊ぼうね。絶対に」

「もちろんだよ!」

ガシッと熱い抱擁を交わす私とやっちゃん。
やっちゃんと初めて会った時はこんなことができると思っただろうか、いや、思わない。
潔子お姉さまが引退してから私たち2人でマネージャーを頑張ってきた。
ついこの間後輩マネージャーの勧誘に成功したため、マネージャーがいないという危機的場面には陥らずに済むと思われる。

私たちを横目に片付けを始める蛍。
ふと、時計を見ると教室への集合時間5分前だった。

「卒業式に遅刻とかありえない!皆急いで!」

早朝練初日におにぎりを食べていて他のみんなが来る時間になってしまったため、痕跡を消すのをものすごく慌てたことを思い出しながら教室へと全力ダッシュをしていた。