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2人のやり取りを見た日の放課後、顧問の気まぐれにより部活が休みになったため、楽器を持って帰ろうと思い音楽室から相棒を教室へと運んできた。

まあ、そこには東峰くんがやっぱりいて。安定の悲しそうな顔。

「東峰くんさ、バレー部なんだよね?」

「みょうじさん!あ、うん。休み時間隣で騒いでごめんね」

「ううん気にしないで」

私たちの方が騒いでるし、と付け加えると普通の笑顔に戻る。

「私さー、今ではパートリーダーやってるけど、中学の頃部活サボりまくっててさ」

東峰くんの正面の席を借りてそこに腰を下ろす。

「正直、ずっと隣に居たはずの音楽が嫌いになってた。当たり前にそこにあって、当たり前になりすぎて大嫌いだった」

キョトンとする東峰くん。
いやー、その表情は男子高校生らしくていいよ!携帯を取りだせる雰囲気じゃないのが悔しい。

「高校は辞めようって思ってたんだけど智恵に引きずり込まれちゃって辞めるに辞められなくなって。そこで気がついたんだよね、仲間って大事だなぁって」

きっと智恵があの時誘ってくれなければ私は音楽を拒絶していて、東峰くんと話すこともなかっただろうし、怖い印象のままだった。

" 音楽は1人でも作れないわけじゃない。でも、沢山の色が集まって1つの音楽を作る楽しさもう一回だけでも味わおうよ "

智恵は音が色で見える人らしい。
たまーーーに、いると昔聞いたことがあるがこんな身近にいるとは思わなかった。

音楽は1つの音でも無くなってしまえば成り立たない。
きっと、バレーでも同じだろう。

「バレーは1人じゃ無理だし、1人でもかけたら試合にも出れない。きっと、音楽とバレーは同じなんじゃないかなって思って…さ…」

少しだけ自信が無くなってどんどん声が小さくなっていく。
東峰くんはまだキョトンとしている。

なにこの小動物!!


delettoso
楽しそうに