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東峰くんと沢山会話をした次の日、朝練を終えて教室に行くとまた第二体育館を見つめる東峰くん。

おはよう、と声をかけてまた視界を遮るように席に座る。
やっぱり寂しそうな顔。

「昨日は練習にお邪魔してごめん」

なんて言うから、昨日の智恵の話は本当だったんだなぁと思いながら東峰君を見つめる。

「ううん!昨日は私、ちょっと悩んでたところだったから誰かと話せて嬉しかったよ」

「よかった〜… みょうじさんに嫌われたら次の席替えまで拷問だ…って思ってたんだ」

「ふふっ東峰くん本当は優しい人ってわかったから、嫌ったりしないよ」

あんなに怖かったはずなのにこんなに笑顔で話せるなんて思いもしなかったなぁ。

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「旭!」

休み時間に突然呼ばれる東峰くんの名前。
あ、バレー部の菅原くんじゃん。昨日、体育館で澤村くんの隣に立ってた。

自分が女子なのか疑うくらい、菅原くんは綺麗な顔をしている。
神様ってちょっと…いや、凄く酷い。

「すごい1年が入ってきたんだ」
「ごめん」

あまり聞いてはいけない内容だろうと思い、耳を塞ぐ。
あ、物理的にじゃなくて精神的にね?

ごめん、と言った東峰くんの表情は体育館を見つめていた時のものよりとても辛そうで悲しそうで、バレーがしたい。と叫んでいたように見えた。

担任との進路面談に呼ばれて、逃げるように教室を出た東峰くんを追いかける菅原くん。
きっと、私は関わってはいけないもの。触れてはいけないバレー部の問題。

東峰くんの表情は脳裏に焼きついたまま。

melancolicament
さみしそう