暗闇のなかの痕付け | ナノ

今日は真ちゃんの運勢がとびきり良いらしい。それはいつも見ているおは朝の占いが良かったってことなんだけど、それ以上に真ちゃんの機嫌も良い。普段はあたしが甘えても軽くあしらうだけなのに、今日は誘っているのか?なんてらしくもなく本気になっちゃって、あたしは逆に圧倒されてしまうほどだった。

「真ちゃん、真ちゃん、まっ…」

待って、と口を開けると、かまわず真ちゃんの舌が入りこんでくる。真ちゃんは真面目でお堅いわりに、こういうことをするときは、あたしのことを無視して自分の欲を満たそうと必死だ。だけど余裕がないわけじゃなく、それが普通なのかと思わせるほど真ちゃんは冷静だった。あたしの限界も、真ちゃんの限界もわかった上で行っていた。それを証拠に、あたしの限界ぎりぎりになると、真ちゃんは必ず行為をやめる。あたしの息がもたないことに気付いた真ちゃんは、唇を解放し、あたしの体のあちこちに口づけをし始めた。息があがって、その上体の感部に触れられているあたしは、興奮しているかのように体を震え上がらせた。ほんとう、自分勝手なんだから…。

そんな真ちゃんは、眼鏡を外すとなにも見えないのと同じくらい視力が悪い。だけど、キスする時なんかはさすがに眼鏡を外さないとできない。眼鏡がないときの真ちゃんはおもしろくって可愛いから、あたしはたまに眼鏡を外していたずらしちゃう。それなのに、こういうことする時に限って、眼鏡を外しても視力が落ちていないのと同じくらいに、あたしの唇の位置すら的確に探り当ててしまう。本当は、見えてるんじゃないの、とさえ疑うほどに

「お前の体など、目を瞑ってでもわかる」

きっと真ちゃんは純粋にそういっているんだろうけど、あたしは恥ずかしくなって変態、なんて言ってしまう。あ、ちょっと傷つけちゃったかも。なっ、と驚いて目を見開く真ちゃんに、あたしは嘘だよ、と言おうとしたら、ふっと少しだけ笑って、かまわん、と見栄を張るのだった。

2012/07/06
真ちゃんおたおめ