小説 | ナノ




「黄瀬、くん…やめて…」

いやがる彼女の手を頭上にくくって、彼女の首に顔をうずめて、唇を這わせた。きっと彼女がいやがっているのは、俺が急に彼女を押し倒して、こんなことを始めたから驚いているんだろう。俺は彼女のいやがる姿を無視して行為を続けた。そんないやがっても、悪いのは名前ちゃんなんスからね

「ねえ、あの男だれっスか?」
「あれは…クラスの…」
「なに話してたんスか」
「……」
「………言いたくないなら」
「!」

俺の次の行動に気付いた名前ちゃんは、体をびくつかせて白状した。というより、白状せざるを得なくなったのが正しいっスかね

「告白、された」
「…………」
「でも、断ったよ…?」
「……ふーん」

告白、ね。告白を断ったのかなんて、俺にはどうでもよかった。告白をされたということは、名前ちゃんが、他の男の眼に止まってしまうほど、魅力的な女の子になったってことだ。そんなの、俺だけが知ってればいいのに、他の奴なんかに知られたくないのに…それができないのが悔しい。

「…やっぱ続きしてもいいっスか?」
「えっ……」

音を鳴らしながら、首に何か所も痕をつけた。俺のもの。彼女は誰のものでもない、俺のものっスよ。そういう意味もこめて、少し痛くするように名前ちゃんの首や胸元に吸い付いた

「予防線、張らせてくださいっス」

2012/06/29
嫉妬黄瀬くん