友達以上




「お前彼女いたの?」

「は?」


唐突な質問だった。前置きも何もない。もう既に真っ暗になっていた通学路に男2人。しかも意味の分からないこの質問。…もちろん答えは決まっている。


「そんなものつくる気もないですが」


真顔で答えてやれば、だよなあと言って頷き始めた。分かってるなら最初から聞くなよ。それが伝わったのか伝わってないのか、部活仲間は言い訳を始めた。


「いや…あれだ。たまに一緒にいるじゃんか。黒髪のカワイコちゃんが」

「ああ…」


栖羅のことだと理解した途端体が脱力感に襲われた。確かに最近は妙に大会を見にくるような気がする。その度に雑談してたからな。誤解されるのも無理ないのかもしれない。

しかし…まさか栖羅が彼女と間違えられるとは…。









いつから一緒にいるかなんてもう分からない。気付いたら隣にいた。そういうものだった。お互いに隣にいるのが当たり前。そう思ってた最中、栖羅が魔法学園に入ると聞いた時にはものすごいショックを受けていたような気がする。



部活仲間と別れ、無駄に豪華な自宅へと近づいていく。近づいていくたび、門構えの所に人影がいる事に気がついた。


「あ、ラルトくん!」


やっときた!と、満面の笑顔。
噂をすればなんとやら…。栖羅だった。しかし予想外の登場に驚きを隠せない。


「びっくりした?」

「…………まあ」

「ドッキリ大成功!」


子供のようにはしゃぐ栖羅は、何も変わっていなかった。それが妙に、安心出来たような気がする。


しかしこの後の話で、栖羅が自分の知っている栖羅ではない事を知る事になる。


―ラルトくん。私彼氏がいるんだ。


この妙なモヤモヤが何なのかわかってたら、苦労はしなかっただろう。




中3ラルト+高1栖羅
130211


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