幸せ、です
おはようの続きです。
ちぇりぶろのEDはどうなるか私にも分からないので一応捏造ということに。
時系列としてはED後→ED前決戦前夜が打倒かな?
「どったの、突然起きて」
ミスと久々に言葉を交わす事が出来て嬉しいっちゃ嬉しいが、やはり突然起きられるとびっくりする。なかなか起こせないだろうと覚悟していたが故に。
「………寝る」
ミスは一言そう言うと私のいる方向とは逆方向に寝返りをうち、頭まで布団の中に潜り込んだ。
いやいやいや待て待て待て。
「せっかく起きたんだから起きようよ」
「………」
「おーいみすー」
「………」
「………」
「………」
「だああああ!!!!なんなの!!!?私と話したくないの!!!!?」
なんだかムカムカしてきた私は一気に布団を剥ぎ取る。ミスは突然襲ってきた寒気に戸惑ったように目を丸くしたが、それも一瞬で、すぐにうずくまり顔を隠した。
な、なんなんだ。
そんなに私の顔が見たくないのか。だったらはっきり言えばいいのに。そこまであからさまに避けられるとさすがにイラついてくる。(しかし心の隅ではうずくまるミスがとてつもなくかわいいと思っている自分がいる事は内緒である。)
だがこのまま黙って退くような私ではない。ムリヤリにでもこちらを向かせる。……さすがにガードが固くて苦労したけど。武道をやっているこの桜花さまを舐めるなよ。
…ん?
ちょっと待て。この(ミスの両手を押さえつけ桜花が馬乗りになっている)体勢は…。
いやいやこの体勢も体勢だがそれよりもっと不可解な事が…。
「…え。ちょ、なんで…?」
そんなに痛かったのか。私は慌てて両手の力を抜いた。
そして冷静に考える。
なるほど、さっきまであんなに顔を見せたがらなかったのは………この姿を私に見せたくなかったからなんだ。
泣き顔。
「…そんなに寝たかったの?」
「………そういう訳じゃ」
「じゃあなんで?」
「………」
まあ答えたくないならいいけどさ。とぼそりという。しかし私としては、独りで抱え込まないで欲しい、というのが本心だ。
どうもこいつは、何でもかんでも独りで背負い込む悪い癖があるからね。
ミスは私を横目で見ながらしばらく黙ると、しぶしぶと口を開いた。
「……夢、みたいだ」
「へ?」
夢みたい?
ああ、夢を見て泣いたみたいってこと?
「なに、どんな夢?」
ミスが泣くほどのことだから、決して生易しい夢ではないんだろう。それでも私は、ニコニコと、楽しげに彼の見た夢を聞く。
ミスは何回も口を開いては言葉を飲み込み、言うのを躊躇していた。
それを見てるとなんだか申し訳ない気分になる。
「……ああ、言いたくなければいいんだけどさ!」
そう言うと、ミスは困った表情をする。…それも…赤面しながら。
は?なに?泣いてさらに赤面するような夢って…どんな夢な訳?
するとミスは、意を決したかのようにポツリと言った。
「桜花と…ずっと一緒にいられる……夢。子供も2人…いて。飽きるほど退屈な日々を過ごして…。……聞いてる?」
「はっ!」
予想だにしない内容に思わずあっけらかんとしてしまっていた。
そんな。私の夢?私、前まであんなにミスに邪険にされていたのに。そんな。私の夢を見て泣いていた?
はっと気づけばずっと掴んでいたミスの手首が真っ赤になっていた。しまった、空手5段の私が、手加減しなさすぎた。ごめん、と言いながら慌てて手を離す。
大丈夫…、と弱々しく言いながら解放された腕でまた顔を隠す。
気まずい。
多分、今の私は顔が真っ赤になってると思う。恐らく、ミスも。
それを察した途端、ミスが腕の間からチラッとターコイズを覗かせ、ぱっちりと目が合った。
はっきり見た。
濡れるターコイズ、染まる頬。
ミスの、こんな表情を見れるなんて、いつ、誰が思っただろう。
「……桜花」
「…うん」
「………幸せ、です」
「……うん…」
ミスから「幸せ」という言葉を聞いた時、私は初めて報われる気がした。
その言葉は、現実では聞けないのだろうか。
ねえミス、なんで私の夢の中に出て来たの?
なんで「幸せ」だなんて言うの?
あんたって何考えてんのか、全然分からない。
まあ仕方ないか。
それがあんただから。
またおはようって、言ってくれないかな
夢落ちネタ2回目。
頼むからお前ら、幸せになっていちゃこらして見せつけてくれよお 130826
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