▽海賊/ロー
今日も、しくしく、しくしく、耳障りな泣き声が聞こえる。
「………いい加減泣き止めバカ」
それは、留まることを知らずに延々と、永遠と。
「ハナからお前じゃ無理だったんだよ」
――なあ。お前はどうやったら泣き止んでくれる?
「よかったじゃねェか。今回は気づく前に発覚して」
いつになったら、泣き顔以外を見せてくれる?
「ロー」
「……あ?」
ふと泣き腫らした顔をあげて、嗚咽混じりに、
「ロー、ごめん、ね」
そう言った彼女に。
(泣きたいのはおれの方だ)
おれの声が届くことはない。
20130812