パワーストーン

そっと日にかざすと透明な青い光が地におちた。
深海のような色だ。
表面には私の顔を映し出す。
きれい、と口に出して呟いてみた。
するとますます綺麗に思えて心が踊る。

「お姉ちゃん!見てみて!こんなきれいな石、見つけたぁ!!」

この発見を伝えたくて真っ先にお姉ちゃんの下に駆けて行く。
お姉ちゃんは携帯をいじっていて、おざなりに返事を返して来た。

「見て!きれいでしょ!宝石みたい!!」
「そんなわけないじゃん。別に普通だし。
 というか道ばたから変なの拾ってこないで。
 汚いでしょ、捨てなさい」

私とお姉ちゃんとは五つ、年が離れている。
いつも大人っぽくて、綺麗な物をたくさん持っていて、羨ましくて。
だからせっかく見つけた綺麗な石を褒めてもらいたかっただlけなのに。
たしかに、私は子供かもしれない。
けど、その言い方はないじゃないか。

「お姉ちゃんの、バカァーー!」

怒鳴って、お姉ちゃんの声を無視して駆け出した。
走って何かが零れおちそうなのに慌てて上を向く。
空には雲がふわふわと雲が浮かんでいた。
そういえば以前、お姉ちゃんに雲は綿菓子みたいだからきっと甘くて、やぁらかいんだろうと。
そうい言って馬鹿にされた事があった。
いけない、余計な事を思い出した。
駆ける足を早める。
家に帰ってお母さんに飛びつくと驚いたように私を見た。
お母さん、あのね……。
と嗚咽まじりにさっきの事を説明する。

「そうなの?その石、見せてみて」
「う、ん」

青い石。
深い海みたいな色で、透き通っていて神秘的。
そんな石。
サファイヤみたいというお母さんの言葉を復唱する。

「さふぁいや?」
「そう、サファイヤ。せっかくだから小さな袋に入れてお守りがわりにしてみたら?」
「お守り?そんなのになるかな?」
「なるわよ。チカちゃんだけの特別な、ね。
 チカちゃんのその純粋さが失わないようにって、お願いするの」

手の中に戻ってきた石をしげしげと見つめる。
お守り。それも私だけの。
お姉ちゃんにはわかってもらえなかったけれど、私だけがその価値を知っていればいい。
混じり気のない青をみながらそう思った。


サファイヤ……良心、純粋さの象徴

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