マルコside小説
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#46 彼のお預け
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外は、太陽の熱だけで目玉焼きが出来てしまうんじゃないかと言うくらい、暑そうだ。
私はクーラーの効いた快適な部屋で、ショートパンツとキャミソール一枚という姿で寛いでいた。
「アイス食べよう!」
そう呟き、最近手放せないアイスを求めて冷蔵庫へ向かう。
そこからミルク味の棒アイスを取り出しパクリと咥えた。
アイスを堪能していると、玄関の方からガサガサと紙袋の擦れる音と共に、マルコ先輩が登場する。
「おはよう#name#・・・ぉお!!」
「・・・?おはようございます」
私を捉えた瞬間、彼は手に持っていた紙袋を投げ捨て両手を広げて近寄ってきた。
「朝から・・・誘ってんのかい?」
「??何がですか?」
「だってよい・・・そんな・・・」
そう言って、持っていたアイスを指差す彼。
「アイス?アイス食べたいんですか?」
「違うよい!!・・・よし。こっち座れい」
そうして促されるままソファーに座らされ、
「じゃ、始めるよい」
何故かアイスの食べ方講座が始まってしまった。
「違う。こう下から・・・」
「そうだ。あっ、垂れるよい・・・」
「そこでこう・・・ああ!!!」
彼の雄たけび。その原因は私がアイスをかじったからだ。
「もう、何なんですか?」
アイスくらい好きに食べさせて欲しい。
「#name#・・・噛むなよい・・・」
物凄くしょんぼりしているが、どうせ下らない事でも想像していたのだろう。
そんな彼をジト目で見ながら腰を上げる。
「マルコ先輩、アイス珈琲でいいですか?」
「お、おう・・・」
未だしょげている彼に苦笑いを返し、そう言えば、このアポ無し訪問は何なのだろうと彼に問い掛けた。
「あぁ、プールに行こうと思ってよい」
「プール、ですか?」
プールか・・・気持ち良さそうだな。あ、でも・・・
「でも水着がな・・・」
「水着ならあるよい!ジャン!!」
待ってましたと言わんばかりの態度で、差し出された物に嫌な予感が襲ってくる。
「先輩チョイスの・・・水着ですか?」
「おう。どれがいい?」
そう言いながら、楽しそうに水着を並べだす・・・彼。
どれって・・・
そこには5着程の水着が並べられ、どれも・・・
そう。どれも布の面積が少ない。
「・・・・こんなの着れません」
こんな格好で、人様の前になんか出られない。
「あぁ、人目は気にすんなよい」
彼が言うには貸切のプールなので二人きりなのだと。
「でも・・・」
「選ばないなら、オレが選ぼうかねい」
「わっ!ダメですよ」
そうしてこの中では一番マシだろうという物を選び、彼と共にプールに行く事になった。
「わぁ!!お部屋と繋がってるんですね!」
そこは、ホテルの一室に設けられたプライベートプールでキラキラと光る水面に私は目を輝かせた。
「さ、入るかい」
「はい!」
暑い気温の中触れる冷たい感触に思わず歓喜の声がでた。
「気持ちいいですねっ!」
最高ですと付け加え、プールを堪能する。
「そりゃぁ良かったよい」
そうしてプカプカと浮きながら少し泳いでみた所で、彼の姿が見当たらない事に気付く。
「あれ…マルコ先輩?」
するとすぐ近くで、ザバンと水しぶきを上げ現れた彼に…
「何ですか…そのゴーグル」
いつの間に装着したのか分からないが、ゴーグルを着けた彼に突っ込みを入れた。
「あぁ。水の中から見る#name#の体もそそるよい」
「……」
そんな彼の言葉に、自然と眉間に皺が寄る。
まさか…この為に?
「さぁ、もっと泳げよい!平泳ぎがいいねい」
「…遠慮します」
「ダ、ダメだよい!折角のゴーグルが…」
やはり。その為にプールに連れて来てくれたんだなと確信した私は、
「もう。疲れたんで上がります」
そう告げて部屋の方へ泳ぎ出した。
「待てよいっ」
だが伸びてきた彼の腕に捕まり、しっかりと腰を抱き締められ熱いキスを贈られる。
「ン…だって、変な事ばっかり…」
「あー、もう外すよい」
それならいいだろうと、再び唇が降りてきたと同時に、
「わぁお!!お邪魔だったかな?」
「………」
「………」
この声は…サッチ先輩。と、
「やっほ!」
ナミだ。
予期せぬ二人の登場に、キスする寸前の私達は暫く止まってしまう。
一足先に思考が戻った彼は、
「サッチ…てめぇ」
ゆらゆらと怒りを露にしながら、サッチ先輩の元へ近づいて行く。
「うぉ!?いや、これには訳が…ぎゃ!!」
制裁を食らったサッチ先輩の話によると、彼らもまた、このプールに来ようとした処先客がいたので誰かと尋ねれば、私達だったと。
「先客がいた時点で帰れよい」
た、確かに…
「だってよぉ、親父のホテルだぜ?融通効かせて追い出そうとしたら…マルコだって言うじゃねぇか」
追い出せねぇだろ?何てちょっと可愛く言っているが、
「最中だったらどうすんだよい!空気をよめい!」
ごもっともな意見だ。
後少し遅い登場をされていたら…恐ろしい。
「ハハッ。悪ぃ」
でもまぁ、来ちまったもんはしょうがねぇ、お邪魔するぜといそいそと着替えを始めるサッチ先輩。
「#name#ごめんね!」
「ううん。大勢の方が楽しそう」
ね?マルコ先輩?と彼にも同意を求める。
「はぁ…仕様がないねい」
そうして、彼らと共に水遊びを満喫する事になった。
「あぁ、それにしても…水着姿の女っていいよなぁ」
「#name#を見んじゃねぇよい」
「見たくなくても視界に入っちゃうの!」
「じゃぁ、目、潰してやるよい」
「ひっ!本気でやりそうで怖いぜ」
「はぁ…ったく邪魔しやがって」
「いいじゃねぇか。#name#ちゃんもナミちゃんも楽しそうだしよ」
「はぁ…そうだねい」
「マルコ先輩ー!先輩達も来てくださいよー!」
「おお!!」
「はぁ……よい」
それから楽しく四人で遊び、美味しい食事をしと、今日を満喫した私達は、
「楽しかったですね!マルコ先輩!」
「…お邪魔虫さえいなけりゃねい」
「もう。いいじゃないですか、たまには」
「だってよい!オレは…」
「オレは?」
「オレは…プールで…」
「……プール」
「プールの中で#name#とセッ…ブフォ」
言わせるか!
そんな事だろうと思った私は、思いっきりクッションを投げ付けてやった。
「#name#…何すんだよい」
「っ!!あー、ナミ達が来て良かった」
そう吐き捨てキッチンに避難する。
だって、クッションから覗く彼の目は…獣の目だったからだ。
「逃げれると思うなよい?」
「ひっ…」
そうして、今日一日お預けを食らった彼は…
それはそれは、…凄かった。
「ぁ…もぅ…ごめんなさい」
「#name#…まだ足りねぇよい」
「もう!ホントに嫌です!」
「おっと。逃がすかよい」
「だって、もう嫌なんです」
「…何か、縛るもんねぇかねい」
「ぇ…何ですか…?」
「逃げれない様にだよい」
「……!」