マルコside小説 <img src="//img.mobilerz.net/img/i/63880.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#42 彼女のお仕置き




バンッ!

「っもう!むかつく!」

《ビクッ!!!!》

ナミの激怒するオーラに、多分クラスの大半がビクついた筈だ。

「ど、どうしたの?」

まるで、皆の代表かの様に私は彼女に話しかける。

「どうもこうもないわよ!!」

あのバカリーゼント!浮気しやがったのよぉーぉー

地を這うような声で、そう口にする彼女はまるで鬼そのものだ。

「そ、そうなんだ」

浮気か…無意識にローに目線を向けてしまった。

「…なんだ?」

「べ、別にっ」

ヤバイヤバイ。ほんと、無意識だから許して欲しい。

「………チッ」

凄まじく視線を感じるが、恐ろしくて彼の方を見る事なんて出来ない。

「で、でナミ!今は喧嘩中なの?」

ローからの視線を避ける様にナミに話を振った。

「ええ。これは宝石くらいじゃ許さないわよ」

「ほ、宝石?」

そうか。浮気の代償に貢ぎ物を貰うつもりなのか…

サッチ先輩…心中お察しします。

「ねぇ、#name#だったらどうする?」

マルコ先輩が浮気したらと、真後ろの席の彼女はなにくわぬ顔で聞いてくるが…

「さ、さぁ?」

隣からの視線が痛すぎて、この言葉を言うので精一杯だ。

ナミも察して、その話はせめて彼の居ない所でお願いしたい。

「何よ。まぁ、マルコ先輩は浮気なんてしなさそうね」

あんたにぞっこんだものと、浮気の件はどこへやら既に彼女の頭は何を買ってもらおうか考えているご様子。

「はぁ…」

もうこの話題は終わりだなと、一息ついた途端、

「#name#。で?」

浮気されたらどうすんだ?と聞いてくる彼。

「わ、わかんない」

何故振り返すのだろうか?意地悪過ぎだ。

「ほぉ。わかんねぇなら、分かるまで話そうか」

「え!?何で?い、嫌だよ」

悪い笑みを浮かべるローから逃げる様に、私は教室を抜け出した。

何故あんな意地悪をするのか…
ローもかなり根に持つ性格だったのかと改めて感じた。


でも…浮気か。

たしか、マルコ先輩は
"するかもしれないし、しないかもしれない"と言っていた。

す、するのかな…
いや、したとしても私には察する事が出来なさそうだ。







その日の夜。

「なんだい?ジッと見つめて」

ソファーに座り、優雅にお茶を啜っていた彼を、まじまじと見つめる。

「サッチ先輩が浮気したって…」

「へぇ。ドジだねい」

ド、ドジ?

やはり、前話した通り男は浮気するもので、バレなきゃいいんだという彼の考えは健在みたいだ。

「マルコ先輩は…浮気したことあります?」

私と付き合ってからと、何気に聞いてしまうのは仕方がない。

「ん?する訳ないだろい」

そんな#name#が哀しむ事と、グイッと引き寄せられ包み込む様に抱き締められる。

「そうですよね。しませんよね」

そんな私の言葉に、
#name#はしてないだろうねい?浮気。と、

悪戯な笑みで聞いてくる彼に、

「してたら…どうします?」

どうするのだろうと聞いてみたくなった。

「……殺す」

「え!?」

「浮気相手を」

その後、#name#には首輪をつけて外に出さない。

なんて物騒な事を言い出す彼。目が本気だ。恐ろしい。


「私は、絶対しませんよ」

「わかってるよい」

私の事を信じていると言う彼の目が、すごく優しかった事に心が暖かくなった。

「うーん大好きですっ!」

言葉と共に彼の首に抱きついた。

きっと、もし彼が浮気していたとしても、私は許してしまうだろう。

それ程、彼という存在を手放したくない。


ゆるゆると背中を撫でてくれていた彼の手が、いつもの如く胸へ移動してきた。

「……」

私が黙っているのを、肯定と捉えたのか、シャツのボタンを外していく彼。

まぁ、いいか。と彼の胸に頭を預けたと同時に、訪問者を知らせるチャイムが鳴り響いた。

「チッ。誰だい?」

もはや彼の家の如く、当たり前の様にインターフォンを取るマルコ先輩。

「……何の用だ?」

誰だろうと、彼の近くに寄ってみると、そこには、泣きべそをかいたサッチ先輩が映し出されていた。

「サッチ先輩?」

どうしたんですかね?と、彼に問いかけ、取り敢えずどうぞと部屋へ促した。


「#name#ちゃーん!!」

私を見るなり飛び付こうとする彼に、綺麗な回し蹴りをお見舞いしたマルコ先輩は、

「だから、何の用だよい!」

とても、機嫌が悪いご様子だ。


リビングに移動し、どうしたのかと聞いてみると、

「見てよ!これ!」

帽子を脱いだ彼の頭に、私達は唖然とした。

「ナミちゃんが…ナミちゃんがー!!」と

涙ながらに口にする彼ご自慢のリーゼントは、綺麗に半分位に切り落とされていたのだ。

「凄いねい……あの子」

「はい。凄いんです」

このままだと、毛を全部刈られそうだったので、逃げてきたと言うサッチ先輩。

「サッチ先輩…。ちゃんと逃げ切れましたか?」

ナミがそう易々逃す筈がないと踏んだ私は、彼に聞いてみる。

「おう!しっかり逃げ切ったぜ!」

そ、それなら良かったと、サッチ先輩にもお茶を出さなければと腰を上げた瞬間、見計らったようにインターホンが鳴り響いた。


「ん?誰だろう」

チャイムの音を聞いたサッチ先輩が、一瞬ビクついたのを、目の端で捉えながらインターフォンを手に取った。

「いるでしょ?彼。」

私まで背筋がゾッとするくらい、殺気を纏った友人に、

「居りますです。はい」と

思わず変なしゃべり方になるくらい気迫がこもった声色にすぐさまオートロックを解除すれば、瞬く間に部屋へ上がり込んできた、鬼。


「ひぃぃぃ〜」

「さ、帰るわよ」

邪魔して悪かったわね〜と笑顔で帰っていく彼女達を、苦笑いで見送ると、

「フン。自業自得だよい」

そう鼻で笑いながら、おいでと手招きをされる。

「#name#はあんな事しちゃダメだよい」

私を抱き締め、スリスリと頬擦りをしてくる彼に、

「しますよ。断髪式」

当然の様に言ってやった。

「…!!」













「さっきのは…冗談だよねい?」

「フフ。どうでしょうね」

「#name#…目が笑ってないよい」

「うち、バリカン無いんですよね」

「い、要らないだろい」





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